ニールセン・カンパニーは14日、日本とアメリカの都市部で働いている男女を対象に実施した「うつ状態に関する日米比較調査」の結果を発表した。同調査は、3月20日~3月23日の期間にインターネット上で行われ、各国約100名(20代~50代以上の各世代約25名)から有効回答を得た。

それによると、「うつ状態」の人の出現率は日本が30.4%だったのに対し、アメリカは9.6%にとどまり、日本での出現率がアメリカの約3倍に上ることが判明。また年代別で見た場合、日本では若い年齢層ほど出現率が高く、20代では43.3%にものぼることが分かった。

「うつ状態」の人の出現率

うつ状態の原因について各国のトップ3を見ると、日本は1位「仕事上のストレス」82.5%、2位は同率で「生活に対する経済的な不安」「自分の将来に対する不安」55.3%だったのに対し、アメリカは1位「自分の将来に対する不安」67.3%、2位「生活に対する経済的な不安」61.4%、3位「家庭内の問題」53.5%となり、日米で大きな違いが見られた。

中でも「仕事上のストレス」(日82.5%、米51.5%)、「学校や職場などの周囲との人間関係」(日43.7%、米18.8%)の2項目では、それぞれ約30ポイント差があることが目を引いた。

うつ状態にある時、普段に比べてどの程度仕事に時間がかかるかと尋ねると、日本は平均約1.4倍、アメリカでは約1.2倍の時間がかかっていることが判明した。

うつ状態になった際、「病院に行く」と答えたのはアメリカが38.6%、日本が16.5%。また、日本では「気晴らしに趣味などに打ち込む」との回答が71.8%(米55.4%)に上った。受診のきっかけについては、日米ともに「家族、友人など周囲の人の勧め」(日58.8%、米53.8%)が最も多かったほか、アメリカでは「テレビCM,雑誌・新聞等の広告」(17.9%)、「製薬企業のホームページ」(12.8%)などの回答が多く見られた。

病院に行かない理由は、日米ともに「治療に費用がかかる」(日45.3%、米50.0%)が最も多かった。

うつ状態の症状改善に役立つ情報やサービスについては、日本は1位「症状の改善に有効な生活習慣やライフスタイルの情報」49.5%、2位「気軽に相談できるカウンセリング施設」44.7%、3位「同じ症状を経験した人の体験談/うつ病かどうかを診断できるOnlineサービス」38.8%。

一方、アメリカは1位「症状の改善に有効な生活習慣やライフスタイルの情報」55.4%、2位「服薬する薬の情報」49.5%、3位「同じ症状を経験した人の体験談」46.5%となった。

今回の調査結果について、同社コンシューマーリサーチ部門シニアエグゼクティブの福井健太氏は「日本人はこれらのうつ症状を誰かに相談するよりも自分で解決しようとする傾向にあり、それが医療機関への受診率の低さにつながり、うつ病の潜在患者数の多さ(うつ症状を有する対象者の出現率の高さ)という結果を引き起こしていると思われます」と分析している。

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