若い男女の恋愛傾向を示す用語として、「草食系」「肉食系」が定着した日本だが、男女が恋人から夫婦になり、父親・母親となった後におじいちゃん・おばあちゃんとなる一連の過程において、多くの場合、主導権が女性にあるというのは世界共通の傾向のようだ。

欧州の研究者が膨大な携帯電話の発信履歴から家族や親密度を調べた結果、現代の家族は男性を中心とした家長制度から母親中心になっているのではないかとの推論を披露している。

この調査は、フィンランド、ハンガリー、英国の研究者が中心となり、約300万人の携帯電話のデータをもとに家族やカップル間の関係が年齢とともにどのように変化するのかを調べたもの。30億件もの通話の発信、5億件ものテキストメッセージの送信を、発信者側の性別と年齢、送信先の性別と年齢で分類し、最もよく電話をかける(メッセージを送る)相手がどのように変化するのかを明らかにした。

その結果、若い間は男女問わず、同世代の異性・同性(交際相手や配偶者)に最もよく電話をかけていたのに対し、年齢が上がると娘・息子世代への通話が増える。

25歳の時点では、男性が最もよく電話をする相手は同世代の女性(交際相手や妻)で、女性も同じだ。男性は交際から最初の7年は交際相手(妻)が最もよく電話をする相手だが、その後、他の友人に分散していく。一方、女性が電話をかける相手は、最多が交際相手(夫)であるという状態が男性よりも長い(約15年)。だが、30代半ばになると少しずつ変化し、大きくなった子ども――なかでも娘――が電話の話し相手となる傾向が見られる。50歳の携帯電話ユーザーの最も多い送信先を見ると、男性は同世代の女性(妻)であるのに対し、女性は同世代の男性(夫)と同じぐらい20代の女性(娘)が多い。

調査を行った研究者の1人である英オックスフォード大学教授のRobin Dunbar氏はBBCに対し、同調査が「男女関係を主導しているのは女性であることを示す強力な証拠」と述べる。同時に、「女性は年齢を増すと夫が最優先ではなくなり、電話する頻度も減る。その代わり、孫の顔が見られる頃になると自分の娘にフォーカスするようになる」とのことだ。このように、女性が社会構造を主導するのは霊長類の特徴だという。

考古学者は代々、人間社会は家長制度に従っていると唱えてきたが、Dunbar氏はこの論が農耕をベースとした場合にのみ当てはまるのではないかとしている。