秋葉原界隈では既に次世代Core iシリーズプロセッサ、コードネーム「Ivy Bridge」の話題で持ち切りだ。その次世代CPUをサポートするチップセットとして、ひと足早くリリースされたのがIntel 7シリーズ。そしてそれを搭載するマザーボードたちだ。

7シリーズチップセット搭載マザーボードは、現行のCore iシリーズプロセッサ、コードネーム「Sandy Bridge」もサポートしている。つまり、Ivy Bridgeが入手できるまでの間も、今お使いのSandy Bridgeで動き、購入をもって載せ替えるだけでスムーズにPCのアップグレードが可能だ。新CPUの登場時は、Sandy Bridgeの時も、その前のLynnfieldの時も、入手が困難で争奪戦だった。悲しくも争奪戦に敗れてしまったとしても、大丈夫だ。

では、現在Sandy BridgeとIntel 6シリーズチップセット搭載マザーボードのユーザーが、ここで7シリーズにアップグレードする際のメリットはどのようなところにあるのだろうか。この点についてGIGABYTEの「GA-Z77X-D3H」を用いて検証してみよう。

GIGABYTE GA-Z77X-D3Hの概要

まずはGA-Z77X-D3Hがどのような製品かを紹介しておこう。GA-Z77X-D3Hは、Intel Z77 Expressチップセットを搭載した最新ATXマザーボードだ。GIGABYTEの7シリーズATXマザーボードとしてはミドルレンジクラスのモデルとなり、店頭では現在15,000~2万円で販売されている。

ATXサイズのZ77ミドルレンジマザー「GA-Z77X-D3H」

GA-Z77-D3Hは、過度なスペックは搭載していないが、必要な基本性能は一通り押さえたモデルという印象。同社のIntel Z77マザーでもエントリーモデルとなるGA-Z77-D3Hと比べCPU電源回路が豊富で、ハイエンドモデルほどとはいかないまでもカジュアルなオーバークロックも楽しめる。また、ハイエンドモデルで話題となるPCI Express x16スロットも3本搭載している。うち2本はCPUからのGen3の16レーンを用い、グラフィックスカード1本なら16レーン、2本なら8レーンずつ使用することで、AMD CrossFireXやNVIDIA SLIをサポートする。3本目はGen2の4レーン動作。ただしここはほか3本のx1スロットと排他使用となるので注意が必要だ。とはいえ、そこまで拡張カードを用いる必要性も減ってきており、一方、4レーンの拡張カードというのもそう多くない。実運用上問題となるのは、限られたユーザー、限られた用途のみだろう。そのほか、PCIスロットも1基搭載している。

CPU電源回路周辺には10基のフェライトコアがある

マルチGPUにも利用できる2本のx16スロットに、x1スロット3本と排他使用のx16形状4レーンスロット、そしてPCIにmSATAも搭載している

ストレージはチップセット機能のSATA3×2ポートとSATA2×4ポートに加え、Marvell 88SE9172チップを追加することでSATA3を2ポート追加している。なお、チップセット側のSATA2の1ポートと排他使用で、mSATAスロットが利用できる。Mini PCI Expressカードスロットと同じ形状だが、同社のこれはmSATA専用とされる。mSATA対応のSSDを組み合わせれば、Intel SRTのようにSSDをキャッシュとしてHDDを高速化することもでき、低コストでのパフォーマンスアップや搭載スペースの節約などで活用できる。

SATAポートは、SATA 3×4(2ポート+追加チップ2ポート)、SATA 2×4

そのほかの追加チップとしては、LAN、オーディオ、そしてUSB 3.0が搭載されている。USB 3.0に関しては、Intel Z77チップセットが4ポートまでサポートしているが、同社としては足らないと判断したのだろう。VIA VL800チップを搭載し、バックパネルに4ポートを追加。合計するとバックパネルに6ポート、ボード上のピンヘッダから2ポートの計8ポートが利用できることになる。

内部USB 3.0ピンヘッダから2ポートが利用できる。横にはL35と書かれたチップがあるがこれはヒューズで、1ポートに対し1個のヒューズが割り当てられ、たとえ1ポートがヒューズを飛ばしたとしても、もう1ポートには影響が出ない

これらのスペックからは見えてこないところで、GIGABYTEの独自機能も紹介しておこう。まずは3D BIOS。BIOSと言っても、GIGABYTEではIntel X79マザーボードよりUEFIを採用している。最新の機能、とくに3TB超のHDDからのOSブートなどを利用できるので安心だ。そして3Dというところは、UEFIのユーザーインタフェース、つまり画面を3D風の、写真をベースとした、どこに何の設定項目があるのかを直感的に把握できるものを採用していることから付けられている。自作PCの取っつきにくさのひとつにBIOS設定があったが、このユーザーインタフェースにより、いくぶん解消されている。

次は3D POWER。3Dというのはむしろユーティリティ側のユーザーインタフェースのことなので飛ばすが、要はCPU、GPU、メモリ、VTTなど、CPU内とメモリに関する部分の電源供給に、全てデジタルPWM回路を用いたものだ。デジタルPWM化によって、レスポンスの向上やより正確な電源制御が可能となったとされる。

そしてUltra Durable 4 Classicだ。Ultra DurableはGIGABYTE独自の品質基準で、高品質コンポーネント、つまり、低発熱で信頼性の高い、長寿命なコンデンサやフェライトコアなどが使われていることを示す。Ultra Durable 4はその最新版で、PCB基板自体を折り目の密度の高いものに変え、湿度に対する耐性を高めているのが特徴だ。また、静電気に対する抵抗が3倍高いICマイクロチップを採用し、防静電も実現している。それ以前から採用されているコンポーネントによって防電断、防熱の効果もあり、これら4つのガードがUltra Durable 4の要だ。なお、Classicとあるのは、通常版であることを意味する。Ultra Durable 4となるとひとつグレードが高くなり、放熱効果に優れた2オンス銅薄層基板というものを採用している。もっとも、究極のオーバークロックなど超高負荷で超発熱の高い状態で効果を発揮するものなので、通常の用途やカジュアルなオーバークロックが中心の方にとっては、高付加価値としてあれば安心というものだ。

およそGA-Z77X-D3Hはこのようなスペックとなっている。

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