「導入」「運用」「廃棄」と続くIT機器のライフサイクルにおいて、廃棄となるタイミングは、ハードウェアの寿命ではなく、メーカーのサポート期限によって決定付けられるというのが通常の運用だろう。しかし、ここに「延伸稼働」という選択肢を提供し、本当にハードウェアが寿命を迎えるまで利用できるようにしようというのがデータライブの新たな取り組みである。

本誌は、この延伸稼働を実現するデータライブの「EOL/EOSL機器保守サービス」に関して、その内容や意義、今後の事業方針を同社代表取締役社長の山田和人氏に話を聞いた。

「延伸稼働」が意味するものとは

データライブ 代表取締役社長の山田和人氏

企業システムの運用管理を行っている人であっても、「延伸稼働」というのは耳慣れない言葉かもしれない。

本来、企業がメーカーから購入したサーバやネットワーク機器といったハードウェアには、あらかじめ保証期間が定められている。ハードウェアの故障に伴う、機器修理や部品の交換にメーカーとして応じられる期間には限りがあり、それを経過してしまった場合にはメーカーにストックされている保守部品の在庫がある限りの有償対応となる。さらに、保守部品の在庫が切れてしまえば、メーカーによる対応は不可能になる。

自社で利用しているハードウェアのサポート期間が終了しそうなとき、予算的な余裕があるならば、計画的にハードウェアを新しいものへ刷新するといったことも可能だろう。しかし、新規ハードウェアの購入、そのための計画立案と遂行にあたってのコストは決して安いものではない。もし、ビジネス上で、現状のシステムが必要十分な機能を提供しているのであれば、ハードの保守終了だけを理由に新たな予算を確保するのは難しい。

さらに、首尾良く移行に着手できたとしても、それが不慮の事態などで長引いてしまった場合、どうしてもハードウェアの保守期間中に作業を完了できないといった状況も起こりえる。そのシステムが重要なものであればあるほど、保守期間終了から、移行作業完了までの「空白」の期間において、古いハードウェアを動かし続けるための「保険」を付けておく必要性が増してくる。

IT機器の運用フロー - 青がこれまでの流れ。ベンダーのサポートが切れるタイミングで廃棄にせざるをえなかった。そこに「延伸稼働」という選択肢を提供しようというのが、データライブの事業だ

こうした背景から「延伸稼働」という考え方が生まれ、それをサポートするための「EOSL/EOLハードウェア保守」サービスに対する関心が高まっている。「EOSL/EOL」とは「End of Service Life/End of Life」の略。つまり、ハードメーカー視点で「尽きた」と判断された製品の寿命を「延伸」させるため、サードパーティによって提供される保守サービスのことである。

リユース機器販売の中で分かった「EOSL/EOLハードウェア保守」のニーズ

延伸稼働を実現する「EOSL/EOLハードウェア保守サービス」を提供している代表的な企業の1社がデータライブだ。

これまでデータライブでは、Sun MicrosystemsやHewlett-Packard 、Dellといったメーカーのサーバ製品や、Cisco Systems、F5 Networksなどのネットワーク機器のリユース製品を企業向けに販売してきた。その中で、リユース製品を求める顧客の中に「なるべく新しい高性能なサーバを低予算で手に入れたい」というものに加えて、「現在稼働している"数世代前のサーバ機器"の予備として、同じものを確保しておきたい」というニーズが強くあることに気付いた。

山田氏によれば、こうしたメーカー以外のサードパーティが提供する「第三者保守」は、特に海外で大きな市場として成立しているという。もちろん日本でも、そのニーズは高い。

「不況が長引いているといった要因もあるでしょうが、ユーザーの考え方自体が多様化し、柔軟になってきているということもあると思います。メーカーの指定する保守サイクルに合わせて刷新を行うという固定観念から脱却しはじめ、安定して動いているシステムをできる限り長く使い続けたいという要望が強くなってきているのです。EOSL/EOLハードウェア保守サービスは、そうしたユーザーに向けて"製品寿命をまっとうできる"環境を提供するものです」(山田氏)

データライブでは、2年ほど前よりこうした保守サービスを個別対応で提供してきたが、現在はサービスメニューのひとつとして用意しており、多くのユーザーに利用されているという。

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