クリックテック CEO ラース・ビョーク氏

クリックテック・ジャパンは3月22日、2012年の事業戦略に関するプレスセミナーを開催した。同セミナーでは、クリックテックのCEOを務めるラース・ビョーク氏がグローバル全体の戦略について、クリックテック・ジャパンの代表取締役社長の垣田正昭氏が国内における戦略について説明を行った。

ビョーク氏は、同社が2006年から2011年にかけて48.6%という高い年平均成長率で推移していることを明らかにし、同社のビジネスが順調であることをアピールした。地域別で見ると、日本・アジア太平洋地域を含むその他の地域の2010年から2011年にかけての成長率が59%と高く、投資を増やしていると説明した。

また、同社が提供するBIが他社のBIとは違うことを同氏は強調。「われわれが訴求しているBIは、従来のBIとは異なり、ビジネスユーザー指向型。従来のBIのように、経営層の数名が意思決定をするのではなく、現場のスタッフ一人ひとりが意思決定をする必要がある。これを実現するには、簡単に使えるツールが必須であり、それを提供するのがクリックテックだ」

従来のBIでは、IT部門がアプリケーションを構築してエンドユーザーにプッシュしているが、そうした運用形態は「間違っている」と同氏。IT部門はインフラに責任を持つべきであり、アプリケーションの構築と活用はエンドユーザーが行うべきだという。「従来のBIを静的な世界と言うなら、われわれのBIは動的な世界と言える。変化が著しい動的なビジネスに対応するために、どちらのBIが必要なのかは明らかだろう」

従来のBIとクリックテックが提供するBIのアーキテクチャの比較

同氏は同社のビジネスが順調である要因として、「販売モデル」を挙げた。一般的に、BIは大規模な導入になりがちだが、同社は企業の一部門からの導入を推し進めているという。これにより、少人数のユーザーが短期間で課題を解決することで「成功」を体験し、その結果、顧客企業内で同社が提供しているBIツール「QlikView」のファンが増えていき、全社レベルまで導入が拡大していくそうだ。

リックテック・ジャパン 代表取締役社長 垣田正昭氏

垣田氏からは、日本企業にとって同社のBIが必要な理由と2012年度の戦略が語られた。同氏は、「高度成長期は日本人が得意とする『管理』に注力するだけで企業成長が果たせた。しかし、変化が著しい90年代に入ると管理だけでは通用しなくなった。日々の変化に対応するため、『判断』も必要だが、これまで日本企業が利用してきた提携レポートでは判断ができない。これからの時代は『管理』と『判断』の両方が必要」と説明した。

「管理はKPIに基づくPDCAサイクルと言えるが、このKPIを決めるのが判断の役割。これまで、数値に基づくことなく、勘と推測で判断が行われてきたが、的確な判断をするには、エンドユーザーが主導で運用と開発を行うBIツールであるQlikViewが必要」

同氏は、「インメモリを活用して高速処理ができるため、エンドユーザーはキューブやデータマートを用いることなく、明細データを直接用いて数十億件の分析が行える。分析の切り口を変えたい場合、従来のBIではIT部門がETLに遡って処理をやり直すため時間がかかるが、QlikViewなら明細データがユーザーの手元にあるので簡単に行える」と、QlikViewの特徴をアピールした。

従来のBIとクリックテックIの「QlikView」の違い

2012年度の国内戦略としては、「提案力強化のため、2012年末までに従業員数を倍増」「西日本エリアで拡販するため、4月1日から大阪にオフィスを新設」「顧客の要望を製品開発に反映していくためのバリデーション・チーム(Validation Team)を日本にも設置」が挙げられた。