ペンギンを間近で観察できるBoulders Beach
さらに、ケープタウンにいったならぜひ訪れてほしいのがBoulders Beach。国立公園内に位置し、野生のペンギンが観察できる。ぽってりとしたかわいらしい体型のペンギンに癒されつつ、運が良ければ沖合で潮を吹くクジラを見ることもできる。
南仏に似た気候、土壌でワインの生産国に
そして、冒頭でも触れたが南アフリカといえばワインの産地。その歴史は意外に長く、350年ほど前からワイン造りに取り組んでいたという。ブドウの栽培はケープタウンの東側一帯で行われており、大きく分けて3つのワイン産地がある。
Paarl: 南アフリカで3番目に古い歴史を持ち、大手ワインメーカーKWVの本拠地がある街。
Franchshoek: 南アフリカのグルメ首都と呼ばれ、フレンチレストランも多数。世界ランクのオーベルジュ、ル・カルティエ・フランセがあり、南アフリカで最も美しい町と言われている。
Stellenbosch: ワイン産業の中心地。ワイナリーの数が一番多く、大企業のワイナリーからファミリーワイナリーまで幅広くある。
これらの地域は山に囲まれた盆地であるため、ケープタウンよりも気温は高く、湿度は高め。ケープオランダ式と呼ばれる古い建築様式の建物が多く、特徴は白壁でかやぶき屋根。ゲーブルと呼ばれる模様の屋根飾りをあしらっているのが特徴だ。
南アフリカのワイナリーは、その多くが施設内にホテルを建設したり、スパやピクニック施設を併設するなどして集客をはかっている。フランスでもエノツーリズムが定着しつつあるが、南アフリカでもその兆しがあるということだろう。
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Stellenboschを代表する大規模ワイナリーの1つ「Spier」。南アフリカのブドウ品種、ピノタージュを使った赤ワインが有名。このEerste川が無ければSpierも誕生しなかったというくらい大切な川。そんな背景を知らなくても、美しい川と農園に心が安らぐ |
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Stellenboschの外れにある、赤をメインとするファミリーワイナリー「VERGENOEGD」。現在は6代目が経営。川沿いのマナーハウスにはレストランも併設。このワイナリーでは、ラナーダックという種類のアヒルを300羽近く飼っていて、ブドウ畑の害虫を食べてもらうことで農薬の使用を少なくできるメリットがある |
4回に渡って綴ってきた南アフリカ紀行も今回が最終回。広大な草原の中で見るゾウやライオンに圧倒され、ダイナミックな自然の中で楽しむアウトドアアクティビティに夢中になった。かと思えば、サマラのラグジュアリーなホテルがあったり、ケープタウン近郊には近代的な大規模ワイナリーがあったり。"自然"と"都会"が見事に融合したこの国の虜に、僕は知らないうちになっていた。