テクトロニクス社は2月29日、ミッドレンジ・オシロスコープとして1GHz帯域に対応した「MSO/DPO4000B-Lシリーズ」4製品ならびに「MSO/DPO4102B型」2製品、合計6製品を発表した。受注はすでに受け付けているが、出荷は2012年4月からを予定している。

テクトロニクスが新たに発表した1GHz帯域対応オシロスコープ「MSO4104B-L」の外観

ミッドレンジ・オシロと呼ばれる帯域は1~3GHz程度で、近年の組み込み機器の高性能化、ワイヤレスへの対応などにより、コモデティ化したコンシューマ製品であってもDDR2メモリの採用や無線LANへの対応など、動作周波数や転送速度が向上してきている。その一方で、開発現場には開発コストの低減や短TAT化などの要求が容赦なく押し付けられ、解決を迫られるようになってきている。こうした周波数の向上に対し、「組み込みエンジニアが早く問題解決できる手助けをできるオシロスコープに対するニーズが高まっている」との判断で、今回の6製品が開発されたという。

ミッドレンジ・オシロスコープで活用されるアプリケーション例

アプリケーションに見るGHz帯域へのニーズの高まり

そうした背景から、今回の6製品は必要な機能は温存しつつ、それほど重要でない部分などを限定化することで価格を抑えたモデルとなっている。筐体は従来のMSO/DPO4000Bシリーズと同じものを利用しているほか、1GHzに対応したハイインピーダンス対応の受動パッシブプローブもチャネル数に応じた本数を標準装備。入力感度も1mV/div、DCゲイン確度±1.5%を実現していながらも、価格をアナログ入力2ch品で116万円(税別)を実現している。

今回発表された4000B-Lシリーズの最安価格は116万円。チャネル数さえ問題なければ既存の500MHz帯域オシロよりも安価に入手することが可能

「より廉価なMSO3000シリーズを1GHz帯域まで拡張することも考えたが、10.4型(XGA)のモニタサイズと5kgのぎりぎりの可搬性、各種の解析機能を汎用機として用いたいというニーズが強かったことから4000Bシリーズが選択された」という。

では、どこの機能が限定されたのかというと、サンプリングレートが抑えられている。といっても、すべてのサンプリングレートが従来より抑制されているわけではなく、例えば4000B-Lシリーズの場合、2ch品であれば1chで5GSps、2chで2.5GSps、4ch品では1/2chで5GSps、4chで2.5GSpsと、フルにチャネルを活用したときに抑えられる形となっている(4102Bではサンプリングレートの変更はなく全chを用いても20GSps)。また、レコード長のメモリ数も抑えられており、従来の4000Bシリーズが20Mポイントであったのに対し、4000B-Lシリーズでは5Mポイントへと削減されている(4102Bでは20Mポイントを維持)。

MSO/DPO4000B-LシリーズおよびMSO/DPO4102B型の特長と付属の標準プローブの特長

なお、同社では「1GHz帯域を汎用的に扱えるようにしたい」としており、特に日本の組み込み機器の開発現場などでは先端の技術や機能を搭載するものが多く、今回の6機種および従来から1GHzに対応している4000Bシリーズ2機種、ならびにMDO4000シリーズと併せた9機種を積極的に展開していくことで、こうしたニーズに対応していきたいとしている。