サイオステクノロジー 代表取締役社長 喜多伸夫氏

サイオステクノロジーは2月24日、クラウドビジネスに関するプレスセミナーを開催した。同セミナーでは、同社の代表取締役社長を務める喜多伸夫氏と執行役員 Googleビジネス統括の栗原傑享氏が説明を行った。

初めに喜多氏が、同社のクラウドビジネスの事業戦略について話をした。同社では「クラウド」「事業継続」「OSS事業」「WebApp開発事業」をビジネスの柱としており、「オープンソース&クラウドサービスプロバイダー」を目指しているという。「現在は、パブリッククラウドがクラウド事業の中心だが、今後はプライベートクラウドに力を入れていく」と同氏。

Javaやオープンソースソフトを中心にビジネスを展開してきた同社がクラウド事業を手掛ける理由について、同氏は「さまざまな技術の進化を踏まえ、われわれはワークスタイルを大きく変えていきたいと考えている。そのための柱として、クラウドサービス、スマートデバイス、エンタープライズソーシャルを据えている」と説明した。

同社は現在、Google AppsとSalesforce.comを軸にクラウドビジネスを展開しているが、Google Appsと連携させる製品としては、「Gluegent」シリーズを提供している。「Google Appsを導入するうえでは、セキュリティとID/データ管理が重要であるため、シングルサインオンやアクセス制御を実現する『Gluegent Gate』を提供している。また。Notesからリプレースする際に最大の課題となるワークフロー機能やグループスケジュールをGoogle Appsに提供する『Gluegent Apps』もすでに提供している。今後、システム間を連携する『Gluegent Connect』、企業向けSNSクライアント『Gluegent Clip Crow』の提供を予定している」と同氏。

サイオステクノロジーのGoogle Apps関連ビジネスの構造

サイオステクノロジー 執行役員 Googleビジネス統括 栗原傑享氏

続いて、栗原氏がクラウドビジネス市場のトレンドについて説明を行った。企業におけるクラウドサービス導入の動向は、「2010年はオンプレミスの製品とクラウドサービスが比較される状況だったが、2011年に入ると中小企業を中心に社内のサーバ一掃が前提でのクラウドサービスの指名買いが行われるようになった。そして今年に入り、大企業を中心にクラウドサービスにおいて、スマートデバイスや社内SNSの検討が開始された」と同氏。

イントラネットのアプリケーションをクラウドサービスに移行する際、アセスメントを行うと、移行対象として絞り込まれるアプリケーションは40%にすぎず、それらのアプリケーションのうち、25%は「Google Sites&Docs」で、10%は「ワークフローシステムの活用」で以降可能であり、2つの方法に比べて時間とコストがかかる「PaaSを使った構築」は5%だという。

さらに同氏は、クラウドサービスを利用するうえでの課題として「IT統制の整備」を指摘した。同氏は「クラウドサービスは、事業継続という観点からは企業にメリットをもたらすが、データがWebに分散するなどの点ではセキュリティに課題を残す。しかし当社としては、『使わせない安全』から『使わせつつ』安全」を目指す」と、同社の姿勢を説明する。

同社としては、Google Appsを利用する際にIT統制として不足している部分を埋めるため、「Gluegent Gate」を提供している。「Gluegent Gateを利用すれば、Google Appsに社外からアクセスする際も、企業で管理しているPCのみアクセスを許可して、管理外の端末や危険な場所からのアクセスは認めないといった、IT統制が利いた形での運用が可能」と同氏。

クラウドサービスプロバイダーとしての強みについて、「Google Appsのリセラーは商社が多いのに対し、Salesforce.comのリセラーはSIerが多く、SIerでありながら、これらのサービスを手掛けている当社は珍しい存在。これは、Google AppsとSalesforce.comがわかるエンジニアがいることを意味している」と同氏は説明した。