国立天文台は2月14日、すばる望遠鏡を使った観測から、銀河に流れ込む「星の小川」の撮影に成功し、銀河の合体をとらえた瞬間であることを発表した。観測はドイツ・マックスプランク天文学研究所のデイビッド・マルティネス-デルガド氏らを中心とする国際研究チームによるもので、成果は米天文誌「Astrophysical Journal Letters」に掲載される予定。

この「星の小川」は、実は「NGC4449」という地球から1250万光年の距離にある矮小銀河が、そばにいた別の矮小銀河を飲み込んでいる様子で、まさに銀河同士が合体している現場をとらえたものだ。広い視野と高い解像度を持つすばる望遠鏡は、飲み込まれている銀河の星の一つ一つをはっきりと分離して写し出している。

この「星の小川」は、もともとは過去にパロマー天文台で撮影された写真乾板のデータ中に、不思議な薄いシミとしてロシアの天文学者によって発見されたことがきっかけとなった。その後、デルガド氏がアマチュア天体写真家であるジェイ・ガバニー氏と共に口径50cmの望遠鏡でより高品質の画像を撮影し、NGC4449周囲に確かに淡構造があることを確認していた。

そしてついに、米カリフォルニア大学天文台のアーロン・ロマノフスキー氏とカリフォルニア大学サンタクルーズ校のジェイコブ・アーノルド氏が、すばる望遠鏡に搭載された主焦点カメラ「Suprime-Cam」を使って観測を行い、NGC4449に流れ込む「星の小川」の存在を明らかにしたというわけだ。NGC4449が、さらに小さな矮小銀河を飲み込もうとしている瞬間だったのである。

現代の宇宙理論では、大きな銀河は小さな銀河同士が合体することで作られるという考えだ。これまで、大きな銀河が絡む合体の様子は数多く観測されてきたが、矮小銀河同士の合体を直接観測することは困難だった。引き裂かれた矮小銀河の星々は、いずれNGC4449の周囲にハロー構造として残るという。

また、NGC4449は高い星生成率を示すことで有名な銀河だが、その理由が今回の撮影によって見えてきた形だ。落ち込んできた銀河との重力的な相互作用がNGC4449の中のガスを乱し、それが原因となって星生成が始まった可能性があるという。NGC4449における銀河同士の合体は、矮小銀河におけるハロー構造の生い立ちだけではなく、爆発的な星生成の起源についてもヒントを与えてくれたようだ。

画像1。すばる望遠鏡に搭載された「Suprime-Cam」がとらえた矮小銀河NGC4449(左下)と、飲み込まれつつあるさらに小さな銀河(右上)。NGC4449中心部の青い輝きは活発な星生成活動を、外縁部や飲み込まれつつある銀河に見られる赤い光は年老いた赤色巨星の存在を示している(画像合成:ジェイ・ガバニー氏)

画像2。NGC4449に引き裂かれて飲み込まれつつある矮小銀河の拡大画像