学会研究会jpと日本マイクロソフト(以下、マイクロソフト)は2月7日、業務の継続性や情報データ保管の安全性の向上をより低コストで実現するために、学会研究会jpの医療画像外部保存システム「Dr. Cloud」の提供基盤として、マイクロソフトのクラウドサービスである Windows Azureを採用し、実稼動を開始したと発表した。製品は、医療画像データ管理・保管ソリューション「Dr. Cloud」(Windows Azure版)で、価格は初期費用35万円、月額利用料3万5,000円、データ保管料30円/GBとなる。

学会研究会jpでは、2011年5月より、医療画像外部保存システムとして「Dr. Cloud」を提供してきたが、コストを抑えながらさらに高品質なサービスを提供するためにマイクロソフトのWindows Azureに保存することを決定した。これは保険医療機関及び保険医療養担当規則第9条に沿って、医療行為の完結の日から3年以上経ち、法令による保存義務期間を過ぎた医療画像データを個人を特定出来ない方式で保存を行う。

Windows Azure版のDr. Cloudは、従来の院内設置型で課題となっていた旧装置からのデータ移行のコストや手間を大幅に削減し、従来の院内設置型と比較すると、2TBの利用で230万円、10TBでは1,110万円のコスト削減が見込める。

標準でDICOMビューアー(医療画像の読影専用画面)を搭載しているため、自宅からの閲覧や情報共有が容易となり、タブレット端末にも対応していることから、地域医療連携への展開も容易に行うことができる。院内システム、医療コミュニケーションクラウドとの相互運用など、ハイブリッド型システムでの連携をスムーズに実現することも可能。さらに、過去の画像フィルムのデジタイズから外部保管まで一気通貫でデジタイズサービスを受けることもできる。

Dr. Cloud システム構成図(多拠点連携時)

学会研究会jpは、これまで医療従事者向けのソーシャルネットワークや周辺サービスを提供してきた経験やノウハウをもとに、医療機関のニーズにあわせて、クラウドサービスを活用したソリューションをさらに展開していく。

マイクロソフトは、Dr. Cloudの販売パートナー企業との協業イベントの企画・開催の支援や、大手病院グループへの販売支援などを通してソリューションの普及に取り組んでいく。また今後も医療コミュニケーションクラウド、福祉クラウド、健康管理クラウドなどの分野において、パートナー企業との連携により、医療福祉の現場のニーズにあわせて様々なクラウドサービスの活用を推進する。

両社は、販売パートナー企業との連携により、2014年までに400の医療機関へのDr. Cloudの導入を目標としている。