11月5日に米ボストンのハーバード大学で開催された国際生体分子デザインコンテスト「BIOMOD 2011」の最終選考会(ジャンボリー)で、日本チームが準優勝を含む複数の賞を獲得する大活躍をした。そのチームジャパン報告会が、11月23日に計測自動制御学会システム制御部門講演会(SSI2011)の1部門として、東京・代々木公園に隣接する国立オリンピック記念青少年総合センターで実施されたので(画像1)、各チームのプレゼンテーションや質疑応答の様子などをお伝えする。

画像1。3チーム合同で記念撮影。かぶり物を被った東京チームの彼は、実に真面目そうな好青年であったが、最終選考会でのプレゼンでもかぶり物を被って登壇し、YouTube動画の中でも東京チームの分子ロボット「DNA繊毛虫」役で笑いを誘うユニークなパフォーマンスを披露。現地では非常に好評だったようだ

BIOMODは、大学生が対象の国際的な分子によるものづくりコンテストだ。今年が記念すべき第1回で、世界11カ国27チームが参加を表明して行われた(最終選考会にたどり着けたのは、10カ国21チーム)。日本からは、東京工業大学と東京大学の混成による東京チーム、関西大学の関西チーム、東北大学の仙台チームの3チームが計測自動制御学会の調査研究会である「分子ロボティクス研究会」のバックアップを受けて参加。3チームとも前例のない大会への参加という苦労を重ねながらも、しっかりと最終選考会までたどり着き、ハーバード大で審査員の前でプレゼンを実施、それぞれ優秀な成績を収めたというわけである。

審査の仕組みは、まずWikipediaとYouTubeを使ってオンラインによる発表を行う。そして、最終発表会で実際にプレゼンを行って、審査員による投票が行われる。審査員は1人が3票持っており、3チームに1票ずつでも、1チームに3票でも自由に投票でき、それで各チームにポイントをつけて順位を決め、最も得点したチームが総合優勝というわけだ。また、大会に参加した学生たちが投票し合って決める賞なども用意されている。

BIOMODは分子を使ったものづくりであれば、どんなものを作ってもよい。そんな中で日本チームは、3チームとも日本のお家芸である化学とロボットテクノロジーを組み合わせた形となる、分子ロボットを製作した。中でも関西と仙台の2チームは、デンマークのチームと組んで、トライアル部門として「分子ロボットコンテスト」を実施し、優劣を競ったのである。

また、日本チーム以外では、ドラッグデリバリ向けの「カゴ」のようなものを作ったところが多かったという。その一方で、日本チーム以外でも分子ロボット的なものを作ったところがあったことから、来年は同分野の研究を加速させるべく、分子ロボコンが正式部門となることが決定したそうだ。

なお、大会前の中間段階で行われた日本チームの発表も目を通していただくと予定と結果とどう変わったかなどがわかるので、「分子によるナノのものづくり - 「BIOMOD 2011 日本チーム中間発表会」」もご覧いただけると幸いだ。