ユニークなのがルビ表示機能。ワープロソフトでは一般的な機能ですが、テキストエディターでは有志のマクロによって擬似的に表現するにとどまっていました。WZ Writing Editorでは、プログラムレベルでルビをサポートしているため、書籍のように対象となる親文字の上(縦組みの場合は親文字の右)にルビが表示されます。

このロジックを実現するのは、WZ Writing Editorが備えるタグ機能。WZ EDITORユーザーにはお馴染みですが、以前から同テキストエディターでは、タグを用いて特殊な表示形式を実現してきました。このルビ機能も同種のタグを用いて、テキストファイル上でもルビ表示を実現しています。なお、親文字とルビの余白は自動調整されますが、親文字が行を折り返す際は自動的に追い出し禁則が適用されるため、視覚的な違和感もありません(図12~14)。

図12 <ルビ>ボタンをクリックし、ルビを振る漢字と読みを入力して<OK>ボタンをクリックします

図13 これでタグが付いた状態でルビが加わります

図14 <タグ>をクリックしてタグを非表示にすれば、書籍のようにルビのみ表示されます

もう一つの興味深い機能が、表示と印刷スタイルの共通設定。テキストエディターで文書作成を行うメリットの一つが、余計な装飾を加えずに文書だけをスピーディに作成できる点ですが、社内外レポートなど印刷を前提とした書類を作成する場合は、頭のなかで完成図を思い描かなければなりません。ここがテキストエディターとワープロソフトの大きな相違点ですが、WZ Writing Editorは編集中の表示形式と印刷スタイルを共通化することで、印刷時の文字数や段落、行間といった仕上がりイメージに近い画面表示を実現しています。

一般的な国産テキストエディターでも、縦組み・横組みの変更や字間行間の調整はサポートしていますが、表示内容と印刷スタイルを結合させるというところまでは足を踏み入れていません。これがテキストエディターの役割なのか、と問われると難しいものの、原稿執筆専用のテキストエディターと名打ったWZ Writing Editorだからこそ実現できた機能と言えるでしょう(図15~18)。

図15 <表示>メニュー→<スタイルの一覧>でスタイルの切り替えが行えます。こちらは標準の「A4横書き」

図16 こちらは「A4横書き(雑誌原稿)」。段組みやフォントサイズが調整されています

図17 こちらは「A4縦書き40文字40行(見開き)」。原稿用紙サイズにあわせて行間が調整されます

図18 こちらは「B5横書き20文字20文字」。400字詰め原稿用紙を想定したレイアウトが施されます

このほかにも全角文字単位による折り返し文字数の指定や、文字の折り返しにあわせて変換文字列を表示するなど、かゆいところに手が届く新機能が備わっています。プログラミングではなく、原稿執筆や文書作成にテキストエディターを用いるユーザーには興味深い機能ばかりではないでしょうか。