東京大学大学院新領域創成科学研究科大和研究室と日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は11月21日、同大大和研究室が開発・運営してきた地方自治体向けオンデマンド交通システムにおいて、数理解析技術に基づいた新機能を盛り込んだ新バージョンを共同開発したと発表した。同システムは今月から三重県玉城町で運用されている。

従来のオンデマンド交通システムでは、出発地・到着地・到着時間に対する利用者の希望を複数同時に満たせる運行計画を立てられるが、利用者の要望は多岐にわたるため、バスの経路と時刻を最適に選ぶのは容易ではない課題があった。また、利用者がサービスを利用するたびに予約しなくてはいけないことが不便だと感じていることがわかっていた。

こうした背景を踏まえ、同大大和研究室と日本IBMは、予約提案機能を備えた新たなオンデマンド交通システムを開発した。同機能により、オンデマンド交通利用者の予約履歴データから定期的な移動パターンを瞬時に探し出し、自動的に電話・電子メールで次の予約の提案が可能になった。

同機能は、利用者が過去に利用したことがある利用パターンを推薦するのみならず、潜在的に利用する可能性のある利用パターンを提示することで、オンデマンド交通の活用を促す機能も備えている。

三重県玉城町のオンデマンド交通システム「コンビニクル」のトップ画面