森下仁丹は、バイオカプセルを用いたレアメタル回収プロセスの技術開発の一環として、カプセル製造のパイロットプラントを導入することを決定したことを発表した。

同パイロットプラントは、経済産業省所管の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「稀少金属代替・削減技術実用化開発助成事業」のプロジェクトとして導入するもので、これにより、従来のように大量の薬品を使うことなく、また低エネルギー/低コストで環境への負荷も抑えた、選択的なレアメタル回収技術の確立と早期実用化を目指すとしている。

パイロットプラントの投資金額は約1億3000万円、京都府のけいはんなスーパーラボに建設され、規模は面積200m2、生産能力は年産約20tを予定している。なお、稼働予定は2012年4月を予定。

また、同社は併せて岡山大学大学院環境学研究科の松浦准教授らの研究グループと共に、独自のシームレスカプセル技術を応用したシロアリ駆除剤を開発し、その成果を特許出願することを発表している。

一般にシロアリの駆除は薬剤を散布する方法で実施されるが、木材の中に潜んでいるシロアリまで完全に駆除することは難しく、駆除剤の大量散布による環境への影響が懸念されている。松浦准教授らの研究グループは、アリの卵を働きアリが育室に持ち帰り、舐めて世話をするシロアリの習性に着目し、駆除剤入りの擬似卵を用いることでシロアリを最も効率的に巣全体を駆除する方法の確立を目指しており、同社も2009年よりシームレスカプセル技術応用の一環として、同研究グループと共同でシロアリ駆除剤の開発に取り組んでおり、今回、卵認識フェロモンと駆除剤成分を併用して効率よくシロアリを駆除する方法を見出し、特許出願に至ったという。

なお、同社では、シームレスカプセルの応用開発として、医薬品分野やプロバイオティクス、フレーバーなどの分野に加え、今後は非食品分野の産業用途への展開も注力していく方針としている。