伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)と日本マイクロソフト(以下、日本MS)は11月10日、CTCデータセンターとマイクロソフトのデータセンターを連携させたクラウドソリューションで協業すると発表した。

両社は今後、CTCが構築する高速な演算処理を実現するHPC(High Performance Computing)環境と、Microsoftのパブリッククラウドサービス「Microsoft Windows Azure Platform(以下、Windows Azure Platform)」を連携させ、CTCのデータセンターに設置したマシンのコンピューティングリソースが不足した際にWindows Azure Platformに接続し、必要なときに必要なだけのコンピューティングリソースを追加利用できる環境を整える。

同ソリューションの当面のターゲットとしては、金融業界が挙げられている。金融企業では、四半期に一度の決算のタイミングで、数週間から1ヵ月程度、大きな計算処理能力が求められる時期があり、従来はピーク時に合わせてシステムを構築してきた。これに対し、今後は平常時のシステム負荷に合わせてHPC環境を構築し、負荷の大きな時期はWindows Azure Platformを利用することが可能になり、最大で7割のコスト削減が見込まれるという。なお、Windows Azure Platformの利用準備は最短1日で終えられるため、急激なビジネス環境の変化にも対応できるとしている。

両社は、日本MSが大手町に設置している「マイクロソフト イノベーションセンター」内の「金融HPCラボ」に、Windows Azure Platformと連携した検証環境を用意しており、顧客が利用するアプリケーションの対応状況を事前に検証することで、よりスムーズに導入できるようになる。まずは、2012年春のソルベンシーII対応に伴い計算能力の増強が必要とされている保険数理アプリケーションをメインのターゲットとするとしている。

ハイブリッド型HPCソリューションのイメージ図

CTCは、HPC環境とWindows Azure Platformの連携ソリューション全体で、今後3年間で30億円の売上を目指す。