第24回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されている『より良き人生』(フランス)の記者会見が26日、六本木ヒルズで行われ、監督のセドリック・カーンが登壇した。

『より良き人生』

主人公のヤン(ギョーム・カネ)と9歳の子どもを持つナディア(レイラ・ベクティ)はレストランを開業するが、すぐに資金は底をつき借金地獄に陥る。状況を打開するために2人は足掻くが、容赦ない取り立てや無慈悲な制度に追い詰められついに3人は離ればなれに。「より良き人生とは」を手に入れるために、ヤンが選んだ道とは……?

 セドリック・カーン監督。代表作は『ロベルト・スッコ』(01)、『チャーリーとパパの飛行機』(04)など

主人公を演じたギョーム・カネについてカーンは「とても優秀な役者です。フレキシブルで複数のキャラクターを演じ分けることができるんです。見た目も私が撮りたいと考えていた、”大人になりきっていない移行期間にある青年”にぴったりでした。童顔だし、性格も子どもっぽく、劇中の少年(スリマーヌ・ケタビ)と一緒になって少年が2人いるかのように見えるところが映画に生かされていてとても良かったと思います」とコメント。

ローンの泥沼にはまり立ちゆかなくなる人は日本でも増えているが、と水を向けられたカーンは「フランスでもそういった人はもちろん増えています。貧困層が搾取されどんどん貧しくなっていくという状況ですね」と自国の厳しい経済状況を説明した。

東京国際映画祭の学生応援団の1人から「若い世代へ向けてメッセージを」と促されると、「日本の映画界についてはよく知らないからアドバイスをあげられるような立場じゃないけど……」とシニカルに微笑みつつ、「強いて挙げるなら、アドバイスは聞かないこと(笑)。特に年配の人からはね。若い人にジェラシーを持っているから」と冗談とも本気ともつかぬユニークな回答で場を沸かせた。

昨日行われた一般上映後の質疑応答で、「この映画では宿命をただ受け入れるのではなく戦うことがいかに重要かということを描いている」と言っていたカーン。”より良き人生”にするためにこれまでにしてきたことは? との質問に、「幸せを求めるのは必要なこと。毎日毎日、自分の理想的な生活にするために戦っているよ」と、戦うことで自らの置かれた状況を切り開く重要性を説いた。

フォトセッションではパーカーを脱いでサービス