Windows 8(開発コード名)でも、ユーザーがプロセス管理を行うというスタイルに変更はない。そこで重要になるのがタスクマネージャーだ。今週のレポートは、Microsoftの研究機関であるMicrosoft Researchが取り組んでいる新入力デバイスの情報と、公式ブログに掲載された情報を元に、Microsoftの最新動向を紹介する。

新たなタッチスクリーンに取り組む「Microsoft Research」

Microsoftの関連機関ながらも、完全な独立性を実現した研究機関であるMicrosoft Researchは、以前から面白い取り組みを行っている。最近筆者が寄稿した各コンピューターの入力デバイスを一台のコンピューターから共有する「Mouse Without Borders」も同研究所発のソフトウェアだ。

そのMicrosoft Researchが現在取り組んでいる研究の一つが、あらゆる面をタッチスクリーン化する「OmniTouch」である。例えば白紙のノートに映し出した世界地図をピッチで拡大・縮小表示し、腕に映し出したボタンから項目を選択できるというものだ。

Microsoftは2007年に、テーブルをタッチ型のディスプレイに見立て、指先でテーブルをなぞることで複数のユーザーが操作できるMicrosoft Surfaceをリリースしているが、あまりにも高価(五千ドル~一万ドル)なため、コンシューマレベルにまで降りてきていない。話は本題からそれるが、Microsoft Surfaceは現在バージョン2.0に至っており、Windows 8と同じタイルUIを採用している。

さて、Microsoft Researchが開発中のOmniTouchは、物体に内容を映し出すレーザーベースのプロジェクターと、実際の入力を監視する肩乗せ型カメラの組み合わせで動作しているが、将来的には両者ともマッチ箱のような小さいデバイスレベルに置き換えることが可能だと開発陣は述べている(図01~02)。

図01 実際のタッチスクリーン映像(Microsoft Researchの記事より)

図02 操作の監視は肩乗せ型のカメラで実現(Microsoft Researchの記事より)

本プロジェクトはMicrosoft Researchとカーネギーメロン大学の学生が共同で取り組んでおり、現時点では将来の商品化する可能性も定かではない。だが、同大学に所属するChris Harrison氏の論文を読むと、現在主流のiPhoneのように特定のデバイスだけではなく、あらゆる場面でのタッチスクリーンを可能にすることを目標にしている(同氏のWebサイトから参照可能)。同氏がアップロードした動画も用意されているので、興味のある方は一度ご覧頂きたい。

既に商品化している製品として、机上に赤外線で描いたキーボードから、実際のキー入力を可能にするCelluon社のMagic Cubeなどがあるものの、コンセプトは似て非なるものだ。OmniTouchは既存入力デバイスを置換するというよりも、コンピューターの一部分を体に身につけるウェアラブルコンピューターの概念に近い(図03)。

図03 赤色レーザーで描いたキーボードも既に存在する(公式サイトより)

マウスという入力デバイスが世に登場して今年はちょうど50年目。その間にペン型デバイスやタッチパネル型といったデバイスが登場し、現在ではスマートフォンだけでなくデスクトップOSにも、タッチスクリーンスタイルの波が改めて訪れている。コンピューター本体やOSは進化しているが、入力デバイスはいまだ旧態依然のまま。OmniTouchの存在は新しい入力デバイスの誕生なのかも知れない。