富士通研究所は10月17日、緯度や経度などの位置情報を含むデータの中から、注目の出来事が発生しているエリアを正確かつ高速に探索する時空間データ処理技術を開発したと発表した。

今回、開発された技術は「探索する注目エリアの正確性の向上」と「探索速度の高速化」を実現している。

同技術では、データの特徴と集計の方法に応じ、エリア全体を必要十分に細かなエリアに自動的に分割した後、これらを組み合わせたエリアを候補として集計値が最適となるものを探索する。これにより、地形の形に限定されることなく、広さが異なるエリアを組み合わせた凹凸を含む複雑な形状の注目エリアを、的確に探索できるようになる。

また、新たに開発されたアルゴリズムでは、エリアの組み合わせを逐一列挙する代わりに、探索中の候補エリア内での出来事の発生確率に基づいて、候補に含まれることのない個々のエリアを除外する処理を繰り返し行う。これにより、列挙された候補エリアを大幅に削減し、確率の高いエリアのみを効率よく探索できるため、代表的なデータマイニング手法に比べて約60倍以上の高速化を実現する。

同技術により探索できるエリアと見込まれる利用例

同技術により、刻々と変化する注目エリアを正確かつ高速に探索することが可能となり、エリアによる電力需給の違いに基づく効率的な配電制御、運転注意地点や防犯マップの高精度化などに役立てることが期待される。リアルタイムで正確な商圏分析に基づくマーケティングなど、手持ちの位置情報データを活用した業務改善や、新しいサービス開発への応用も見込まれる。

タクシー利用が多く見込まれるエリア(雨天の夜の例、東京都)