NEC プラットフォームマーケティング戦略本部 マネージャー 永浜公太郎氏

NECは10月17日、現場業務を支援するウェアラブル(身体装着式)コンピュータ「Tele Scouter」の新製品を販売開始した。従来製品に比べ、大きさ・重さ共に従来比約50%と、小型・軽量化が実現されている。

同製品は、視界の一部に映像を表示するメガネ型のヘッドマウントディスプレイと映像出力や他の機器と通信を行う小型コンピュータから構成される。

プラットフォームマーケティング戦略本部 マネージャーの永浜公太郎氏は、同製品の特徴として、「機動性」「視認性」「拡張性」を挙げた。「Tele Scouterは両手で作業しながらディスプレイを見ることができる。ハンズフリー、ロケーションフリーというメリットがあるので、遠隔業務支援、物品ピッキングの作業支援。作業指示、技術伝承といった業務に活用できる。例えば、熟練者の見たままの映像を取り込んで、ノウハウとして共有することができる」と、同氏は説明した。

今回、光源部に高精細の液晶パネルを用いた新型ヘッドマウントディスプレイの採用により、画質・視認性が向上している。ヘッドマウントディスプレイ部分は、ブラザー工業「AiRScouter」が採用されており、専用コネクタによりコンピュータ部分と直結している。ヘッドマウントディスプレイは裸眼の人用と眼鏡が必要な人用に分かれている。ディスプレイの解像度はSVGA(800×600)で、1m先に16インチ相当の画面が表示される。

制御を行うコンピュータ部分は、小型部品の採用や最適配置により、大きさ(140×90×55ミリメートル)・重さ(約360グラム)ともに従来比約50%を実現している。

「Tele Scouter」のヘッドマウントディスプレイとコンピュータ部分

「Tele Scouter」のコンピュータ部分。従来比約50%の重さと大きさを実現

専用アプリケーションとして、遠隔業務支援を行えるソフトウェアが製品化された。同ソフトでは、専用のカメラ付きメガネフレームと組み合わせて利用することで、装着した現場作業員が見ている映像を遠隔地にいるオペレータへリアルタイムに送信したり、オペレータが作業員のヘッドマウントディスプレイに説明書データなどを送信したりすることが可能。「映像、データ、音声を双方向でやり取りできるので、作業中のミスを解消することに役立つ」(永浜氏)

同氏は将来の展望について、「ウェアラブルコンピュータは進化を続けているが、腕タップインタフェースなどのより人間に近いインタフェースと連携することで人に優しいインタフェースが実現される。今後は、クラウドサービス上のビッグデータを活用して、ARなどにも応用していきたい」と説明した。

説明会では、遠隔操作とARへの応用のデモが披露された。遠隔操作のデモでは、ヘッドマウントディスプレイを装着し、ネットワークケーブルの抜き差しを行った作業者に対し、画面を介して作業内容の指示が出された。

右の画面が遠隔操作ソフト。2つの画面のうち、左側が作業者側のカメラに映っている画面で、右側が作業者に提示される画面

ARへの応用のデモはパーティ会場で出会った人の情報を同製品から入手するという設定で行われ、同製品を装着した人の画面に映った人の情報が表示される様子が示された。

ちょっと見づらいが、モニタの右上に、作業者の画面に映った人のデータが表示されている

希望小売価格は、テレスカウター ベーシックモデル専用メガネフレーム付が40万円から、遠隔業務支援ソフトウェア(サーバソフトウェア/クライアントソフトウェア)が199万円からとなっている(いずれも税別)。