パイオニアブースで注目を集めているのが、「AR HEAD-UP DISPLAY」(AR HUD)と名付けられた次世代車載ディスプレイの参考出展だ。AR HUDはRGBレーザー光源モジュールによって、ドライバーの前方約1.5mの空間に19型相当の画面を投影する機器。

ディスプレイユニットは、車内のサンバイザー付近に取り付けられる。AR HUDはディスプレイ機能しか備えておらず、スマートフォンなどと連携させることでナビゲーション機能を実現する。表示される内容はルート表示のほか、次に曲がる交差点までの距離や、車が向いている方角、目的地の方角などだ。施設情報などもアイコン表示される。

ドライバーの前方に映像を投影する「AR HUD」。実際の景色をそのまま利用してナビゲーションを行う

同社の「サイバーナビ」は、フロントガラス越しに撮影した映像をナビ画面内に使用する「ARスカウターモード」の採用が大きな特色となっているが、AR HUDはARスカウターモードとは逆に、ナビ側の情報を実際の景色に重ねて表示する。実際の景色にナビからの情報を重ねて表示することで、「どこで曲がるか」「方角は合っているのか」といった情報が、より直感的に把握できるようになるうえ、前方から視線を移動させる必要がない。

昨年12月に行われた「エコプロダクツ2010」の同社ブースに、今回展示されているAR HUDの元となるモデルが参考出展されていた。今回展示されているモデルは、前回のものに比べて小型化され、スタイルも製品に近いものに仕上がっている。同社ではこのAR HUDを、来年には市場に投入する予定とのことだ。

一方、自転車用製品として参考出展されているのが、、一般向けのサイクルナビとアスリート向けのサイクルコンピューターだ。サイクルナビは、地図の表示やナビを行うことができるマップナビモードのほかに、サイクルコンピューター的に使用するためのメーターモードも備えている。メーターモードでは、移動距離や速度、ペダルの回転数、消費カロリーなどを、数値またはグラフで表示することが可能だ。これらのデータは、表示だけでなく記録も行われる。また一般のナビと同様に、周辺探索や地点情報登録機能も搭載している。アスリート向けのサイクルコンピューターは、ペダルモニタリングセンサーを装備でき、ペダルにかかる力や効率をリアルタイムにより正確に計測することができる。ぺダリングのベクトル表示も可能だ。

サイクルナビ(左)と、アスリート向けのサイクルコンピューター(右)。いずれも、製品化については決定されていない