キヤノン 常務取締役兼映像事務機事業本部長の中岡正喜氏

キヤノン、キヤノンITソリューションズ、米オラクル、日本オラクルは9月26日、オフィス向けソリューション分野で協業し、イメージング技術とビジネス・ソフトウェアの技術を融合した新製品を提供すると発表した。

発表会では、キヤノン 常務取締役兼映像事務機事業本部長の中岡正喜氏が、同社における今回の協業の位置付けや協業の概要について説明した。

同氏は、「事務機事業では現在、新たな顧客のニーズにこたえる必要が出てきている。主なニーズとしては、『業務システムとの連携』『クラウドサービスとの連携』『マネージドサービスの提供』の3つがある。クラウドサービスでは特にモバイルに対するニーズが高い。これらにこたえるには、ミドルウェア技術の拡充がカギとなる」と、同社の事業戦略における協業の意義を述べた。

戦略の具体的な成果としては、新製品と技術分野の協業が挙げられた。新製品とは、「SOAベースのイメージングプラットフォーム」だ。同製品は、キヤノンのイメージング技術とオラクルのソフトウェア技術を組み合わせた基盤で、SOAによりキヤノンの複合機とERPやCRMといった基幹システムを連携させることを実現する。

SOAベースのイメージングプラットフォームの概要

技術分野の協業としては、「Javaの改善・進化」「オフィス向けクラウドサービス基盤の技術開発」が行われる。キヤノンの複合機用のアプリケーションプラットフォーム「MEAP」にはJavaが採用されている。キヤノンはクラウドサービス基盤「Canon Business Imaging Online」を提供しており、その要素技術の開発において、オラクルのミドルウェア技術をベースに行っていく。

技術開発における協業の概要

日本オラクル 代表執行役社長 最高経営責任者の遠藤隆雄氏

日本オラクル 代表執行役社長 最高経営責任者の遠藤隆雄氏からは、同社における協業の位置付けについて説明がなされた。

オラクルでは、「Engineered System」という製品戦略をとっているが、今回の協業はこれを実現するものだという。

「Engineered Systemの下、当社の製品は最適化が行われているが、企業のITシステムの課題を解決するには、メーカーによる横の連携が不可欠になってきている。そこで今回、キヤノンのオラクルの技術を結集し、イメージングとITを融合したEngineered Systemを実現する」

これまで、複合機などイメージング製品を扱うのは総務部門、ビジネスアプリケーションを扱うのは情報システム部門と、組織が分断されていて「壁」があったが、「今回の協業はこの壁を打ち破るもの」と同氏。

キヤノンITソリューションズ 取締役 常務執行役員 事業企画本部長 郷慶蔵氏

製品開発と日本市場での販売を担当するキヤノンITソリューションズの取締役 常務執行役員 事業企画本部長を務める郷慶蔵氏は、SOAベースのイメージングプラットフォームについて説明を行った。

「これまでも基幹系システムと情報系システムをEAIで結ぶという考え方はあったが、今回発表した製品はさらにデバイスの連携も加わっており、初めての試みだと思う」と、同製品の特徴をアピールした。

同製品は、ユーザーへの直接の提供、同社がサービスと組み合わせたうえでの提供、SIerへの提供など、さまざまな提供形態が想定されている。同氏によると、SIerが同製品を導入すると、ウォーターフォールモデルの開発モデルにおいて、ロジックやデータに関する開発に関連するコストを削減することができるという。

SOAベースのイメージングプラットフォームの仕組み

同製品の価格体系はCPUベースとなっており、4CPUで480万円からとなっている。

今後は、2012年に国内SIerへのチャネル開拓と米国展開、2013年にアジア/ヨーロッパへの展開、2014年にSaaSビジネスの展開が予定されている。