デジタル時代の今、旅行に出かける際は着替えや歯ブラシだけでなく、タブレット端末やPCを持っていく人も多いだろう。旅先でもメールチェックやSNSの利用は欠かせないが、セキュリティが確保された会社で使うのとは話が違う。旅先でモバイルデバイスを使う際は、自分でプライバシー対策を行わなければならない

プライバシー団体「TRUSTe」でプレジデント兼執行会長を務めるFran Maier氏がMashableで「旅行中でのプライバシー保護に関する10の心得(原題:10 Travel Tips for Protecting Your Privacy)」という記事を寄稿している。夏は終わったが、秋の連休を使って旅行に行く人もいるはず。知っておいて損はないアドバイスなので、参考にしてはいかがだろう。

(1)認証なしの公衆無線LAN(Wi-Fi)に注意せよ

旅行に限った話ではないが、まずは「公衆無線LANのセキュリティ」から。カフェやホテルのロビーでWi-Fiを使う時は暗号化されているネットワークを利用しよう。暗号化されていないWi-Fiは、認証なしで使えるので誰でもアクセスできる。つまり、そのWi-Fiを介した通信は悪意ある人に傍受されてしまう可能性があるわけだ。店の人に無線ルータが暗号化されているかどうか聞いてみるのもよいだろう。

オンラインバンキングにアクセスしたり、クレジットカード番号などの機密情報を入力したりする場合は、サイトのURLがhttpsで始まっているかどうかをチェックしよう。httpsはHypertext Transfer Protocol over Secure Socket Layerの略で、SSL/TLSを用いる安全な通信のためのプロトコルだ。

(2)モバイルデバイスには盗難対策とパスワード保護を

スマートフォン、タブレット端末、ノートPCなど、持ち運べるデバイスは窃盗のターゲットになりやすい。そこで、iPhoneのようにGPS機能を用いて遠隔から端末を探せる機能や盗難対策用アプリを活用しよう。なかには、遠隔から端末にログオンしたり、データを消去したり、窃盗した人の写真を撮影したり可能なアプリもある。ぜひとも、災難が起こる前に対策を講じて起きたいものだ。

さらに、盗難対策はホテルの部屋でも必要だ。ほとんどのホテルが客室での盗難に責任を負わない。部屋を出る時は、部屋にカギをかけるだけではなく、貴重品とともにモバイルデバイスをセーフティボックスに入れよう。

加えて、重要なデータが入ったノートPCやタブレットはデバイス自体をパスワードで保護しよう。文書にパスワードロックや暗号化といった対策を行っていても、端末がまるごと盗まれてしまったのでは台無しだ。

(3)会社のノートPC、本当に必要ですか?

モバイルデバイスのセキュリティ対策を紹介したが、旅行に会社のノートPCを持っていくつもりなら、本当に必要かどうか再考してみよう。会社のPCには機密情報がたくさん入っている。国境を越える旅行をする場合、入国審査を行う職員は入国者すべてのスマートフォンやノートPCの中味を見る権利がある。

そのほか、窃盗、故障……など、さまざまなリスクを考えると、会社のPCは持っていかないほうが賢明なこともあるだろう。

(4)SNS上で留守を伝えない

長期留守にする際、FacebookなどのSNSで公言するのは控えたほうがよい。Twitterのように不特定多数の人に公開されている場合はなおさらだ。用意周到な泥棒ならば、Twitterのメッセージで確認したうえで、誰もいないあなたの家を狙うかもしれない。

(5)共有のコンピュータを使った後はログオフを忘れずに

インターネットカフェ、ホテルのロビーなどに備え付けてあるPCからメールをチェックしたり、SNSなどにログオンしたりした場合、使い終わったら必ずサービスからログオフしよう。Webブラウザのウィンドウを閉じるだけでは不十分だ。

サービスによっては、自動でログオン状態を保つ場合もある。次に使う人が、あなたのユーザー名とパスワードがそのまま残っていたサービスにアクセスしたら――この場合、あなたになりすましてアクセスできてしまうのだ。

(5)財務状況はリアルタイムで確認しよう

旅行中もクレジットカードや銀行口座がチェックできるなら、しておくに越したことはない。旅先のレストランで料金をクレジットカードで支払ったところ、間違った金額(大抵は実際の金額よりも多い)が請求されたといった話はよく聞く話だ。悲しいことだが、世界には旅行者とわかるとだまそうとする人がいるので要注意だ。

(6)スマートフォンと同じくらい危ないデジカメ

個人情報が入っているのは、スマートフォンやノートPCなどのコンピュータデバイスだけではない。デジタルカメラに保存されている画像も立派な個人情報だ。最近はWi-Fi対応のデジカメもあり、これまで以上に安全対策が必要だ。

(7)休暇の写真は共有する前にチェックを

旅行から戻ったら、旅先で撮った写真をSNSにアップデートして友達や家族に見せる人も多いだろう。一度オンラインにアップした写真は誰の目に留まるかわからない。あなたの酔っ払った姿は友達と共有するには楽しいが、もし、就職活動中ならば、お目当ての会社の人事担当が見ても大丈夫だろうか?

幸い、FacebookなどSNSの多くが写真の共有相手を設定できるので、これらの機能を利用しよう。後で恥ずかしい思いをすることがないように。