IEEEは9月19日(米国時間)、電力システム、アプリケーション、電力機器に関わるエネルギー技術と情報技術の運用について、スマートグリッドの相互運用性を定めるための指針である「IEEE 2030」を承認し、発行することを発表した。IEEE 2030は、IEEE Standards Storeで購入することが可能だ。

IEEE 2030は、スマートグリッドの相互接続性と相互運用性について情報を提供するために、一から作り上げられたシステムであり、基礎的な標準化となる。

今回の作業については、スマートグリッドの3つの主要原理である電力システム、コミュニケーション、情報技術の全方向から数百人が参加し、2年間で開発されたという。

その目的は、スマートグリッドの迅速な普及と、それが世界中の人々にもたらす画期的メリット、つまり消費者にとっての選択肢の拡大、電力システムの信頼性向上、再生可能エネルギー減への依存拡大の実現を支援しようとするもの。

またIEEE 2030は、世界中のスマートグリッド事業に新たなアプローチとベストプラクティスを提供するとともに、用語、特性、機能パフォーマンスと評価基準、および末端アプリケーションや電力機器のEPSのスマートグリッド相互運用性に対するエンジニアリング原理の適用を定義した内容となっている。

さらに、相互運用性に必要な設計表とデータフロー特性の分類についても定義しており、特に機能インタフェースの同定、論理接続とデータフロー、コミュニケーションと連結、デジタル情報管理、サイバーセキュリティ、発電用途に重点が置かれている形だ。

さらに以下の3つの拡張版についても、既に作業がスタートしている。1つが「IEEE P2030.1」で、「電力輸送インフラストラクチャ」について。電気自動車とその関連インフラストラクチャに関わる公共事業者、製造業者、運輸業者、インフラストラクチャ開発者、およびエンドユーザが、個人向け・公共向け陸運への応用に取り組もうとする際に採用できるガイドラインを策定する予定だ。

2つ目の「IEEE P2030.2」は「電力インフラストラクチャに統合された蓄電システムの相互運用性に関する指針」についてだ。各種のシステムトポロジの相互運用特性を定義することで、ユーザーが蓄電システムについてより理解を深められるようにし、またどうすれば個別システムやハイブリッドシステムを、電力インフラストラクチャの一部として適切に統合し、互換的に利用できるのかを説明しようとするものとなっている。

最後の「IEEE P2030.3」は、「電気エネルギー蓄積装置および電力システムアプリケーション向けシステムのテスト手順に関する標準」についてだ。蓄電装置やシステムが、蓄電の相互接続標準に準拠しているかを検証するテスト手順の標準を策定しようと目指している。

IEEE自身は、IEEE2030は、世界的に重要なスマートグリッドの相互運用性の参照モデルとルールを確立し、インフラストラクチャを計画中の公共事業者、スマートグリッドのシステムやアプリケーションを計画しているメーカーや研究者および科学者、またはスマートグリッドの運用や規制を検討中の政府や、スマートグリッドの標準開発機関などに採用されるものと予想しているとした。