いまやMacの入力デバイスはワイヤレスが標準。確かに、積年の悩みだったケーブルが這い回る光景は消えたが、今度は不意にやってくる「バッテリー切れ」が悩みのタネに。なんとかスマートな解決策は……と考えていたところに発売されたのが、ここに紹介するワイヤレス充電器「The Magic Bar Inductive Charger for the Apple Wireless Keyboard & Magic Trackpad」。早速、その概要と実際の使用感をお伝えする。

「The Magic Bar」の同梱品。ドライバなどのソフトウェアは必要ない

入力デバイスはワイヤレス化、しかしバッテリーという足かせが

Bluetoothが普及してからというもの、入力デバイスにはワイヤレスがいいと考えるようになった。いまなおUSB接続のキーボードを常用し、つい数年前までPS/2キーボードを現役で使っていた身としては、キーストロークなどフィーリングに対する思い入れも強いのだが、なにより机の上をケーブルが這い回るあの光景がイヤなのだ。

自宅用のポインティングデバイスにかぎっていえば、数年前からBluetooth以外使わなくなった。マイクロソフトのBluetoothマウス――デザインはともかく使いやすさは抜群だった――を2台使い潰し、その後AppleのMagic Mouse、そして現在はMagic Trackpadをメインにしている。ケーブルが絡まることもなく、離れた位置から快適に操作できるのはワイヤレスならではの利点だ。

ただひとつ、気になることが……そう、バッテリーの問題だ。単3乾電池2~3本というバッテリーはそれなりのスピードで消耗されるため、コストを考えると使いきりの1次電池ではなく充電式の2次電池を選ぶことになるが、リチウムイオンなど多くの2次電池には「残量が一定レベルを下回ると電圧が急低下する」という特性がある。交換用の2次電池を用意していても、残量低下の警告を受けてから充電を始めるようでは遅く、その間ジリジリしながら充電を待つしかない。

ここに紹介する「The Magic Bar Inductive Charger for the Apple Wireless Keyboard & Magic Trackpad」(以下、Magic Bar)は、その名のとおりApple Wireless KeyboardとMagic Trackpad専用の充電器。電磁誘導方式の採用により、キーボードまたはトラックパッドを本機ベースステーションの上に置くだけで充電できることが特徴だ。今回は、Magic Trackpadとの組み合わせで、そのルック&フィールと実用性を検証してみたい。

専用充電池をApple Wireless KeyboardまたはMagic Trackpadの単3電池格納部分にセットする

専用充電池をセットすると、このような突起が生まれる

Apple Wireless Keyboardは、最新の単3×2本を使用するタイプにのみ対応。3本タイプの初期型で試してみたが、端子部分が物理的に適合せず断念した

Macユーザも納得の質感

Magic Barという製品は、充電対象を2つの入力デバイスに絞りこんでいるだけあって、使い心地は十分考慮されている。たとえば、ベースステーション部分は緩くカーブし、キーボード/トラックパッドどちらのデバイスを置いてもジャストフィットする。オーナーならわかるはずだが、これらの製品の単3乾電池を格納する部分には滑り止めのゴムがあり、それがうまい具合に制振装置として機能している。もちろんバッテリー残量があるかぎりは分離した状態で使用できるが、充電しながら入力作業しても気に障ることはないだろう。

Apple Wireless Keyboard(初期型)と並べたところ。質感が似ているため違和感は少ない

ベースステーションの裏側には、Apple Wireless Keyboard/Magic Trackpadのものとよく似た滑り止めのゴムが装着されている

外観についても、Macユーザの気持ちを汲んだ仕上がりになっている。ベースステーション部分にはキーボード/トラックパッドとよく似た梨地仕上げのアルミニウムが採用されており、周囲によく溶け込む。充電の状態を知らせるLEDランプ(赤=待機中、緑=満充電、緑が点灯=充電中)が若干気になるものの、デザインの一貫性を強く意識して設計された製品であることは確かだ。

梨地仕上げのアルミニウムは、Apple製品に比べわずかに目が粗いが、ほとんど気にならないレベル

充電中には緑色のLEDランプが点滅する

Magic Barの電源は、USBから供給を受けるスタイルだ。そのため、どうしても机の上を1本のケーブルが走ることになるが、それさえ納得できれば充電の義務からは解放される。幸い、付属のUSBケーブルはiPhoneやiPodに付属のDockケーブルとよく似ているので、それほど違和感は感じない。

肝心の充電だが、電磁誘導方式の採用により、専用充電池を装着したキーボード/トラックパッドをベースステーション上へ適当に置くだけでOKだ。適当とは言っても、ベースステーション左端の円筒部分に寄せて置かなければならず、その意味での制約はあるが、専用充電池の端子部分をきっちり円筒内に収めなければならないことはなく、半分ほど円筒内に入っていればいい。ちなみに挿入感は皆無で、左に寄せる、という印象だ。

Magic Barの左端にある端子収納部。ここで電磁誘導方式の充電を行う

端子はしっかり格納する必要はなく、半分ほど見える状態でも充電される

気になる点があるとすれば、付属の専用充電池がニッケル水素電池で、容量が270mAhとリチウムイオン電池に比べ少ないこと。ニッケル水素電池といえば、自己放電特性においてもリチウムイオン電池に劣後する(=放電しやすい)など、いまどき? という気もする。置くだけで充電可能な環境にあるため実用上は問題ないのだろうが、この点が気になるのはもう1つ"ぜひ欲しいオプション"があるからだ。

そのオプションとは、「別売の専用充電池」。Magic Barには、専用充電池が1つしか同梱されていないため、キーボードかトラックパッドの二者択一になる。しかし、ことMacユーザの場合、Apple Wireless KeyboardとMagic Trackpadを併用しているユーザは多いのではなかろうか。併用していれば、両方をMagic Barで充電したいと考えるのは当然のこと、そうなれば専用充電池がもう1つ必要になる。専用充電池をオプションで、そして可能であればリチウムイオン電池で提供してくれると、即"ポチッとな"としていいデバイスと考えるのだが。