放射線医学総合研究所(放医研)は9月20日、放射線についての正しい知識と、正しい測定ノウハウを理解してもらうことを目的として、「放射線教育用アニメーション」をWebサイト上に公開した。

同アニメは、2011年3月11日の東日本大震災に端を発した東京電力福島第一原子力発電所(福島第一原発)の事故以後、国民の間に、放射線や被ばく線量についての心配が広がり、国民や地方自治体が独自に線量測定をするようになってきたが、測定器を誤って使用すると測定結果が不正確になるほか、知識がない人間が勝手な解釈をした結果、不安を助長させる可能性があり、そうした懸念を払拭し、広く一般に放射線の正しい知識を学んでもらおうと作製されたもの。

元々は2001年より開発されてきた教育ツールの1つで、原則として高校生の知識でも理解できるレベル(一部、大学生レベルの知識が必要なものもある)で、一般向けとして作られており、放医研では「このツールが福島第一原発の事故で多くの方々より多くの方々のより放射線のことを知りたいというご希望にお応えする一助となることを期待しています」とコメントしている。

今回は開発されたコンテンツの中から、 「放射線の性質と防護」「サーベイメータの取扱い」が公開された。前者は、放射線の性質を知った上で、「放射線防護の3原則(時間、距離、遮へい)」を理解するのに有効なもので、後者は、サーベイメータなどの計測器を用いて空間線量率、表面汚染の計数率を計るための、正しいサーベイメータの使い方を具体的に学ぶためのものとなっている。

「すべてを視聴する必要はなく興味のある章のみでも理解できるように配慮しています」とのことで、各章のほとんどが10分以内で構成され、それぞれのコンテンツも全体でおよそ30分となっている。

なお、放医研では2011年10月にも「放射線教育用アニメーション」として「ガンマ線スペクトル解析とその応用I(甲状腺モニタ、ホールボディーカウンタなど)」および「ガンマ線スペクトル解析とその応用II(ゲルマニウム検出器による分析など)」を公開する予定としている。

最終的には4種類のコンテンツが公開される予定(アニメーションの再生にはFlash Playerが必要)