森永製菓は、筑波大学の武政徹准教授、早稲田大学の後藤一成助教(現立命館大学准教授)との共同研究により、EMR(酵素処理ルチン)に筋肥大を促す効果があることを発見したと第19回日本運動生理学会大会で発表した。

激しい運動を行うと筋損傷が起こり、筋損傷による炎症で生じる活性酸素は、さらに筋組織の損傷を助長し、二次損傷を起こす。近年、抗酸化物質および抗炎症物質の摂取が過剰な筋損傷を抑制することで、長期的には筋肥大を導くと考えられるようになってきたが、このような物質を摂取することで筋肥大を確認した報告はほとんどなかった。

今回、研究チームでは、抗酸化、抗炎症作用を持つと考えられるEMRの摂取が協働筋切除による筋肥大モデルマウスに与える影響を検討することを目的に、ICR系雄マウスに協働筋切除(トレーニング状態と同等)を行い、足底筋に代償性過負荷を与え、筋肥大を惹起した。

3週間の過負荷期にEMRおよびEMR配合ホエイプロテインを投与し、筋線維横断面積および最短直径の測定を行った結果、EMR摂取群、高濃度EMR配合ホエイプロテイン摂取群において筋線維横断面積および最短直径の増大が認められた(筋肥大モデルのマウスで+25%の筋肥大、協働筋切除のない通常飼育のマウスも+9%の筋肥大を確認)ことから、EMRの摂取が筋肥大を効率よく導くことが示唆されたという。

EMR(酵素処理ルチン)の摂取が協働筋切除による筋肥大モデルマウスに与える影響に関する実験結果

また、EMR配合プロテインの摂取がレジスタンス運動後におけるホルモンの分泌動態および筋機能の回復に及ぼす影響を検討し、男性9名を対象に、EMRまたはプラセボ(デキストリン)配合プロテインを摂取する条件を設け、両条件ともに、事前の摂取期間後に一過性のレジスタンス運動を実施した。

その結果、レジスタンス運動後には、両条件ともに血清成長ホルモンおよびコルチゾール濃度の有意な増加がみられたが、これらの変化に条件間で有意差は認められなかったという。

一方、血清フリーテストステロンおよびインスリン濃度の変化(濃度曲線下面積)は、EMR配合プロテインを摂取した条件で有意に高値を示したものの、最大筋力の変化の動態には、条件間で差はみられなかった。これは、EMR配合プロテインの摂取により、レジスタンス運動に伴うフリーテストステロンおよびインスリンの分泌応答が亢進することを示すものであるとしており、研究チームでは、このプロテインへのEMR配合に関する特許について、すでに出願済みとしている。

EMR(酵素処理ルチン)配合プロテインの摂取がレジスタンス運動後のホルモンの分泌動態および筋機能の回復に及ぼす影響