VMware CTO Steve Herrod氏

VMwareは開催中の年次テクニカルカンファレンス「VMworld 2011」において、デスクトップ関連の新製品「VMware View 5」「VMware Horizon Mobile」と新たなプロジェクト「Project AppBlast」「Projects Octopus」を発表した。ここでは、これらの概要を紹介しよう。

CTOを務めるSteve Herrod氏がカンファレンス2日目のゼネラルセッションにおいて、デモを交えながらデスクトップ関連に関する講演を行った。

同氏は、「これまで、企業では社内のWindowsベースのPCでドキュメントを用いるスタイルが定番だったが、変わりつつある。これからはユーザーがどこからでもさまざまなデバイスからデータにリアルタイムでアクセスできることが求められている。われわれはこれを実現する製品を提供している」と語った。

同社は、こうしたデバイスに依存しないコンピュータ環境を「PC後の世界」と表現している。

同氏は、同社の製品開発の柱である「簡素化」「管理」「コネクト」に基づいて、デスクトップ関連の製品について説明を行った。

VMware製品が実現するエンドユーザー・コンピューティングの世界

簡素化を実現するデスクトップ仮想化製品「VMware View」は同日、バージョン5がリリースされた。新機能としては、3Dグラフィックスへの対応、VoIP対応によるユニファイド・コミュニケーションとの統合、iPadへの対応などがある。「管理者はVMware Viewによって、シンプルなウィザードを用いて、デスクトップのプールを作成することができ、プロビジョニングもスピーディに行える」と同氏。

ユーザーのデスクトップを作成した管理者は「ThinApp」を用いて、アプリケーションカタログを作成する。ここで作成したアプリケーションは「Horizon Manager」を用いてユーザーに公開することが可能だ。ユーザーは自身のデスクトップのHorizon Managerから必要なアプリケーションを選択してインストールを行う。Horizon Managerも機能強化が図られており、提供可能なサービスにWindowsアプリケーションが追加された。企業で利用されているアプリケーションに対するサポートを拡大した格好だ。

次に、データサービスに関するプロジェクトとして、「Projects AppBlast」と「Projects Octopus」が紹介された。

Projects AppBlastは、HTML5をサポートしているすべてのデバイスにおいて、Windowsアプリケーションを含めたあらゆるアプリケーションを利用することを可能にする。また、Projects Octopusはコラボレーションやデータの同期を行う。

デモでは、PCとスマートフォンにおいて、同一のアプリケーション、ドキュメントが含まれた同一のデスクトップの実現が披露された。

さらに、ユーザーのエクスプリエンスを向上する製品として、「VMware Horizon Mobile」が紹介された。これはVMware Mobile Virtualization Platformをベースに、1台のAndroid端末にプライベート用の環境とビジネス用の環境を混在させることを可能にする製品だ。

現時点で、同製品をサポートしている端末はLG製品のみだが、サムスン電子もすでに対応を表明している。スマートフォンが急増している日本としては、国内ベンダーの対応が待たれるところだ。

VMware Horizon Mobileによって実現されたAndroid端末の画面。左がビジネス用のデスクトップで、右がプライベート用のホームだ

VMware View、Projects AppBlast、Projects Octopus、Horizon Manager、Horizon Mobileを連携させることで、企業が管理可能な体制の下、ユーザーは会社とプライベートを分けることなく、「「いつでも、どこからでも、どんなデバイスからでも」自分のデータにアクセスすることが可能になるわけだ。2つのプロジェクトが本稼働するのが楽しみだ。

エンドユーザー・コンピューティング分野におけるVMware製品のマッピング