プロセサを始めとする各種先端LSIが発表される「Hot Chips 23」が2011年8月17日(米国時間)に開幕した。場所は恒例のスタンフォード大学のメモリアルオーディトリアムである。例年とちょっと違うのはメモリアルオーディトリアムの正面にあるフーバータワーのお化粧直しが行われており、足場が組まれていることである。

Hot Chips 23が開催されるメモリアルオーディトリアム

スタンフォード大の象徴であるフーバータワーはお化粧直しの最中

初日はチュートリアルで、午前は電力制御とDC-DCコンバータなどの電源供給系とパワーゲートやDVFSなどの電源制御のチュートリアル、午後はFecebookが主導する効率の高いデータセンターを構築する技術の標準化を目指すOpen Compute Projectに関するチュートリアルが行われる。

8月17日のチュートリアルの模様

18日、19日が本会議で、2件の基調講演と25件の発表が行われる。最初の基調講演は、"ARM Processor Evolution:Bringing High Performance to Mobile Devices"と題するARMのSimon Segars副社長の講演である。そして、2日目の基調講演は"Challenges of Building Personal Robot"と題する講演で、2006年にスタンフォード大学の近くに設立されたロボットの研究開発会社であるWillow GarageのSteve Cousins CEOが講演する。

x86プロセサ関係では、IntelからCore 2のマイクロアーキテクチャの発表と電力制御技術の発表があり、AMDからはLlano APUとBulldozerコアを使うサーバ、ワークステーション、デスクトップ用のプロセサの発表が行われる。

x86以外のプロセサでは、IBMからのスパコン用のBlue Gene/Qプロセサの発表が注目される。8月6日にIBMはPOWER7ベースのBlue Watersプロジェクトから撤退と発表されIBMのスパコンとしてはBlue Geneの重要性が高まっている状況であり、興味深い発表である。

また、スパコン分野で躍進の著しい中国の科学技術院からのGodson-Tプロセサの発表も注目される。そして、Oracleからは多数マルチスレッドプロセサの第4世代目となるSPARC T4プロセサが発表される。x86プロセサに関しては、色々と情報が流れているが、これらの非x86プロセサについて技術発表が行われるのは今回のHot Chipsが初めてである。

また、Intelの最新のItaniumプロセサであるPoulson、通信処理向けのメニーコアプロセサであるCaviumのOCTEON II、TileraのTile Gxプロセサなどの発表が行われる。

プロセサ以外の発表では、FPGAとメモリのセッションでのMicron TechnologyのHybrid Memory Cubeの発表が注目される。MicronのWebサイトにはロジックチップの上に4枚のDRAMチップを重ね、TSVを使って接続したような3Dチップの図が見られるが、これも技術的な発表が行われるのは初めてである。

少し、毛色の変わったところでは、Atomプロセサを使い10Uの筐体に768コアを収容する高密度サーバを作っているSeaMicroが"Building Data Center Servers Using "Cell Phone" Chips"(携帯電話用プロセサチップを使ってデータセンター用のサーバを作る)と題する発表を行う。プロセサはIntel製であるが、プロセサ間を接続するインタコネクトチップはSeaMicroの独自開発である。