日本の英語教育についてもの申す!

――話は変わるのですが、菊池さんは日本の英語教育をどう思われますか? これだけ長い期間勉強しても僕を始め英語を話せない人が多いわけですが

菊池:僕は小学校1年から大学4年まで社会を勉強したけど弁護士にはなれませんでした。外国語を勉強するのもそういうことなんですよ。小学校から全部の教科を英語にして、家庭でも日本語は追放する。そこまでして読めも喋れもしないなら明らかにおかしいけど、13歳から22歳までやったのに読めないし喋れないからダメだ、というのは議論の根底がおかしい気がします

――13歳から22歳までの間、学校で勉強するだけでは無理だ、ということですか?

菊池:何を目標とするかですよね。読み書きに限定するなら、22歳までに週5時間くらいである程度のところまでいくのはまず不可能です。結局は、その後ずっと死ぬまで勉強し続けるかどうかなんです

――なるほど。ただ語学学習についてはどうしても幼児期からやらないと身につかないというイメージがあるのですが、菊池さんはそんな中、35歳から英語を勉強してマスターされたわけですよね

菊池:まだマスターはしてないですけどね。もちろん幼児教育で英語を始めることはマイナスにはならないと思います。ただ、じゃあ小学校からやっておくと後で楽になるかというとそんなことはない。おかしいと思うのは、小学校の頃から他の勉強時間を削って英語を勉強することです。それは社会として、国として、ものすごいコストを払っている。それなのに何の議論もないですよね

――言われてみれば、そこに疑問を感じたことはありませんでした

菊池:英語の幼児教育が定着して、今までに何百万と卒業生を出しているわけですが、その成果を計るような調査は聞いたことがない。これは僕のすごく細かい経験則だけど、幼児教育で英語を学んだ人は一音節や二音節の単語だけ発音がものすごく綺麗で後は何もできないという人が、哀しいけれどものすごく多い。そう考えると幼児教育はマイナスにはならないけど、幼児教育が大事だと連呼することで大人の勉強意欲を削いでいる可能性はありますよね

――なるほど。そういう誤解があるから、本書でも「むしろTOEICの勉強は大人になってから始めた方が有利」ということを強く主張されているわけですね

菊池:大人の方が実感を持って理解できる単語もありますからね。conferenceとかappointmentとか