ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズのAndroid搭載スマートフォン「Xperia」シリーズの最新モデル「Xperia acro」がNTTドコモ、KDDIの2社から発売されている。日本の携帯電話の「三種の神器」とも呼ばれるワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信を搭載した注目モデルだ。今回、Xperia acroの魅力をソニー・エリクソンの担当者に聞いたので、紹介しよう。
Xperia acroは、同社がワールドワイドで販売する、約8.9mmの薄型ボディと和弓の弧をイメージしたデザインが特徴のAndroidスマートフォン「Xperia arc」に続き登場したモデルで、日本向け同シリーズの3機種目となる。4.3インチディスプレイやモバイルブラビアエンジン、Exmor R for mobileセンサーなどXperia arcのスペックはほぼそのままに、日本の携帯電話の「三種の神器」とも呼ばれる赤外線通信、ワンセグ、おサイフケータイを搭載した点が特徴で、デザインも一新されている。
持つ喜びのあるデザイン
Xperia acroについて、デザイン担当の金田氏は「限界まで(サイズを)絞った上で、美しさとバランスを考慮している」と説明する。
ソニー・エリクソンの端末デザインには人間の体のラインを取り込んだ「Human Curvature」という考え方が採用されおり、そのデザイン思想は、Xperia arcの弧を描くボディラインなどに見て取れる。
これはXperia acroも同様。例えば、Xperia acroでは、三種の神器を搭載したことでXperia arcと比べて内部基板が増えてボディが厚くなっているのだが、側面にシルバーのラインをデザインすることで、引き締まった印象を持たせている。商品企画担当の安達氏は、この「ピンと張ったシルバーの曲線」は、デザイナーが何度も何度も線を引き直して、一番いい線を模索した結果の「曲線美、緊張感」と説明する。こういった工夫は背面にも施されており、フラットではなく、わずかにふくらみを持たせた背面にしているという。これら、Human Curvatureから着想したデザインは、見た目だけではなく、持った際の心地良さも実現している。
この見た目と使いやすさを両立した筐体デザインを維持するため、ワンセグアンテナの配置も工夫している。Xperia acroのアンテナはホイップ式で、収納時に全体のデザインの中にうまく溶け込むようになっている。このワンセグアンテナの設置は苦労したとのことで、「いかにスマートに(デザインの中に)隠して、かつ驚きのある出方になるか」(金田氏)を目指したという。さらに、カバーの開け口をアンテナと逆方向にすることで、「ワンセグのアンテナを出したまま背面カバーを開けてしまってもアンテナが折れないように」するなど、細かい部分まで配慮してデザインしている。
このほか、カラーについても工夫が盛り込まれている。Xperia acroはBlack(ブラック)、White(ホワイト)の2色に加え、NTTドコモ向けにAqua(アクア)、au向けにRuby(ルビー)というオリジナルカラーを用意している。
このうちAquaは、深さに応じて色が変化する「海の水のようなイメージ」 で、クリアな印象のブルーから深みのある青へのグラデーションが特徴だ。このカラーリングは、「量産するには難しく、チャレンジだった」とのことで、単純に青色に青を重ねていくと暗い色になってしまうため、「どの色を重ねるとキレイな青が出るか苦労を重ねた」のだという。同様にピンクのグラデーションのRubyも単純にピンクにピンクを重ねると赤色になってしまうので、色相をチューニングすることで「(グラデーションの)始まりと終わりも美しいピンク」に仕上げている。なお、この2色はシボ蒸着と呼ばれる手法が施されている。
AquaとRubyは、どちらも男女ともに持てるカラーを目指したそうで、「若干(男女どちらをターゲットにするかで)比重の置き具合はあるが、どちらも男女問わず楽しんでもらえるカラーになっている」とマーケティング部統括部長の金子氏は説明する。
今後のXperiaブランドの方向性
Xperiaシリーズが目指すのは「The Most Entertaining Smartphones」だ。同シリーズの開発について金子氏は、「新しいユーザービリティや使い心地、美しいデザインに軸をおくことが、開発の基本思想になっている」と説明する。Xperiaブランドは今後も「エンターテインメント」を重視していく意向で、AV系の機能、コミュニケーション系の機能に引き続き注力。さらに、「周辺機器の豊富さや楽しさ、アプリのユニークさ」といった点も今後さらに拡大していきたい考え。Xperiaを中心にした「楽しさを追求していきたい」としている。