国立天文台は、7月2日(ハワイ時間)に障害が発生した「すばる望遠鏡」について7月24日(同)、冷却液漏れの障害からの復旧を進め、7月22日(同)より障害の直接の影響がなかったナスミス焦点での共同利用観測を再開したことを発表した。ナスミス焦点では、高分散分光器(HDS)、波面補償光学装置(AO188)、近赤外線分光撮像装置(IRCS)、高コントラストコロナグラフ撮像装置(HiCIAO) を用いた観測を行うことができる。

今回の冷却液漏れが起きたのは、望遠鏡最上部にある主焦点部(周辺光学系システムと主焦点カメラを含むユニット)であることが判明したが、障害の原因と発生の経緯については引き続き調査中としている。現在、該当する主焦点部ユニットを望遠鏡から完全に取り外しており、冷却液漏れは再発しない状態になっているほか、冷却液漏れの影響を受けた望遠鏡の主鏡については、洗浄後に反射率の測定を進め、問題のないレベルになっていることが確認された。

こうした状況から、当面の間、共同利用観測では、冷却液を使わない副鏡を主焦点部にとりつけ、ナスミス焦点の観測装置を用いて行うことが予定されている。

なお、主焦点の観測装置については、原因の解明と対策を行ったうえで観測を再開する予定とするほか、冷却液漏れの影響を受けたカセグレン焦点については、復旧次第観測を再開する予定としている。

すばる望遠鏡本体とナスミス焦点の観測装置。共同利用観測を再開したナスミス焦点では、高分散分光器(HDS)、波面補償光学装置(AO188)、近赤外線分光撮像装置(IRCS)、高コントラストコロナグラフ撮像装置(HiCIAO)を用いた観測を行うことができる((C)国立天文台)