吉田戦車の『逃避めし』が12日にイースト・プレスより発売される。本書は「ほぼ日刊イトイ新聞」で2007年から2010年まで連載された同名作品をベースに加筆修正、大量のイラストと新作「めしまんが」の描き下ろしを収録した単行本用の特別編集版となる。
「逃避めし」とは一体何なのか。吉田戦車自身がこう定義している。
- しめきりが迫っているのに、つい作り始めてしまうもの
- マンガのことを考えることを忘れたくて、作り始めてしまうもの
- 酒を進めるために、そして酒のダメージから回復するために作るもの
- 仕事中の小腹を満たすために作るもの
- 売っている味、プロの味への反抗心から作るもの
- けっして外では買えない味のもの
- 冷蔵庫や食品置き場をからっぽにしたくて作るもの
- 料理人として妻の優位に立とうとして作るもの
最優先で済ませなければならない用事があるのに後回しにして別のことを始めてしまう――誰もが1度はこんな経験があるだろう。吉田戦車は創作料理に取りかかってしまうらしい。ナポリタンの具だけを炒めてみたり、娘の雛飾りのお内裏様が帯刀していないことへの落胆をちらし寿司にぶつけてみたりとクリエイティビティあふれる料理が、独特のイラスト、マンガ、小気味よい文章とともに紹介される。
「何も今作る必要はない。
だが、そんなときにこそうずくのが逃避の虫である。
仕事が遅れるかもしれない、担当編集者に申しわけない。
そう思う気持ちこそが、なによりのスパイスだ」(本文より)