ルネサス エレクトロニクスは6月23日、低消費電力かつ高い処理性能を実現した統合マイコンとして、「RL78ファミリ」に「R8Cファミリ」の高機能な周辺回路を搭載した「RL78/G14グループ」 を製品化したことを発表した。即日サンプル出荷を開始しており、サンプル価格は64KBフラッシュ、5.5KB RAM内蔵の64ピンLQFPパッケージ(10mm×10mm)の「R5F104LEAFB」が1個あたり230円となっている。量産は2011年12月より順次開始し、2012年12月以降はグループ合計で月産1000万個を計画している。

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同グループは、「R8Cファミリ」を使用していたカスタマの既存ソフトウェア資産を流用することが可能なほか、R8Cファミリで高機能タイマとして実績のあった3タイプのタイマを搭載。1つ目は、「タイマRD」で64MHz動作可能な2本の16ビットタイマからなり、PWM機能として任意幅の三相波形(6本)を出力することが可能。2つ目の「タイマRG」は16ビットタイマで、位相計数モードでは二相エンコーダのカウント数自動計測が可能。そして3つ目の「タイマRJ」は16ビットタイマで、パルス出力、 外部入力のパルス幅/周期測定などが可能となっている。これにより、例えば高分解能を必要とするインバータでは、従来品「RL78/G13」よりも2倍高速のクロックで動作させることを実現しつつ、低消費電力化を実現している。

また、R8CファミリでCPU負荷低減と低消費電流化に実績があった、データトランスファコントローラ(DTC)、イベントリンクコントローラ(ELC)を搭載。

DTCは、CPUを使わずにメモリ-メモリ間でデータを転送する機能で、同じクラスのマイコンに搭載されているDMAに比べて、転送チャネル数や起動要因数を増やすことが可能なほか、フラッシュメモリからのデータ転送も可能となっている。一方のELCは、各周辺機能が出力するイベントを周辺機能間で相互に接続(リンク)するもので、このイベントリンクによりCPUを介さず直接、周辺機能間での連携動作が可能になり、周辺機能の高速起動が可能となるほか、CPUが停止したままでも周辺機能を起動できるため、低消費電流化が可能となる。

さらに、RL78/G13に搭載しているCPUコアに乗除算・積和演算命令を追加したことで、演算実行時のオーバーフロー割り込み処理を不要とし、性能改善が図られたほか、フラッシュメモリ96KB以上の製品では、オンチップ・デバッグ機能に256分岐までトレースできる機能を新たに追加したことで、カスタマにおけるシステム開発・評価の効率改善を図ったことに加え、R8Cファミリの特長であった8ビットD/Aコンバータ(DAC)2チャネルとウインド機能を持ったコンパレータを搭載。このDACを用いて、音声再生やコンパレータを使った高度な電圧監視を行うことが可能で、使い勝手の向上と外付け部品点数の削減を図ることも可能となっている。

ラインアップとしては、16Kから256KBまでのフラッシュROM、2.5Kから24KBまでのRAMを搭載し、30ピンから100ピンまでの標準/ファインピッチQFPパッケージや小型QFNパッケージ、LGAパッケージなど合わせて17種類のパッケージを用意。今後は、512KBの大容量フラッシュROM搭載製品、128ピンまでの多ピン製品や、調理家電などの高温度になるシステムに向けて動作温度105℃対応製品の提供も計画しているという。