Texas Instruments(TI)は、同社の低消費電力32ビット浮動小数点DSP「TMS320C6748」ならびにARM9とC674xを統合したDSP+ARMプロセッサ「OMAP-L138」に、新たにセキュリティ機能を搭載したラインナップを追加したことを発表した。これらのプロセッサは同社のDSP「C6000」およびDSP+ARM「C6-Integra」の各製品プラットフォームの一部となっている。

今回発表された主なセキュリティ機能は、「セキュアブート機能」と「マルチ・レイヤの暗号化」の2点。セキュアブート機能は、カスタマが開発したアルゴリズムを第三者が改ざんすることを防止することで、悪意のあるソフトウェア(マルウェア)への感染やリバース・エンジニアリングまたはシステムの不正コピーなどによって生じる非認証ユーザーによる顧客システムの不正・不法使用および動作をブロックするもの。一方のマルチ・レイヤの暗号化は、ブート手順の安全性を保ったままで、フラッシュ・メモリ上の起動プログラムおよびアプリケーション・ソフトウェア・コードをリモートでアップグレードすることが可能な機能。マルチ・レイヤの暗号化は、デバイス固有のユニークな暗号鍵を使用することで有効となり、更新が必要な場合には、カスタマはその暗号キーを使用して新しい暗号化イメージを作成、新規イメージをオンライン・ネットワークなどで受け取り、既存のコードに上書きすることが可能だ。

セキュア・ブート機能および、セキュリティで保護された環境でのフィールド・アップグレード機能の恩恵を受けるアプリケーション例としては、認証済みのアルゴリズムを使用する医療用の患者モニタ装置のほか、悪意ある第三者による傍受や、不正アクセスによる操作がないよう、安全な通信を確保する必要があるソフトウェア無線(SDR)などが挙げられる。

なお、C6748とOMAP-L138はすでにサンプル出荷を開始しており、375MHzおよび456MHz動作および、工業用温度範囲の製品が供給されている。1,000個受注時の単価(参考価格は)C6748が18.00ドルより、OMAP-L138が同21.40ドルより設定されているほか、セキュア・ブート対応のデバイスとして、低消費電力DSPプラットフォーム「C5000」も供給を行っており、今後、DSP、DSP+ARMおよびARMの各プラットフォームのソフトウェア互換デバイスに、異なるレベルのセキュリティ機能の搭載を予定しているという。