最近、Appleに関しては製品の発売前にさまざまなリーク情報が飛び交うことが多いが、この情報漏洩に関する事件の1つで先日、中国の裁判所は3名の人物に実刑判決を言い渡した。米Wall Street Journalが6月16日(現地時間)に伝えている。

iPad 2

ここで話題になっている事件は、中国の周辺機器/アクセサリメーカーの代表が、中国の広東省深センにあるFoxconnのiPad製造工場の従業員に賄賂を渡して発表前のiPad 2の写真を撮影させたというものだ。2010年末に次世代iPadのケース画像が出回ったことを記憶している読者もいるかもしれないが、そこで登場した問題の"ケース"を作成するため、開発中のiPad (現在のiPad 2)の本体画像を撮影させて入手したというのが今回の事件の発端となっている。

今回の事件では、問題のケースを開発・製造したShenzhen MacTop ElectronicsのジェネラルマネージャXiao Chengsongと、Xiaoから20,000元(約3,000米ドル)とMacTop製品のディスカウント購入権を条件に買収工作を行った台湾Hon Hai Precision Industry (Foxconnの親会社)の元従業員Hou Pengna、そしてHouから依頼される形で賄賂を受け取って開発中のiPad画像を撮影して横流ししたHon Haiの研究開発担当従業員のLin Kechengの3名が中国当局に逮捕され、裁判所で実刑判決を受けている。

iPhoneやiPadなど、Appleのデバイス向けアクセサリや周辺機器を開発・製造するメーカーは今回のMacTopをはじめ数多存在するが、これらメーカーの多くが実際に製品にフィットしたアクセサリを制作できる環境が整うのはAppleが製品を発表したタイミング、あるいは実際に市場に製品が出回ってからとなるため、対応製品リリースまでにどうしても時間がかかってしまう。これでは商機を逃してしまう可能性があり、ライバルとの競争を勝ち抜くためにもより早いタイミングでのリリースが必要となる。そこで、あの手この手を使って事前にそれらしい情報をかき集め、いくつかのプロトタイプを作成しておき、Appleの新製品発売と同時に本当に対応するアクセサリ製品を一気に市場へと投入するわけだ。より正確な製品情報を入手できればそれだけで有利になるため、競争を優位に進めるべく今回のような産業スパイまがいの事件もたびたび発生することになる。今回のケースでは、実際の発売の6ヶ月前に情報を入手していたようだ。

WSJによれば、今回の判決は深セン宝安区人民裁判所が中国のSNSサービスである新浪微博(Sina Weibo)の公式アカウントで発表したものだという。Xiaoには18カ月の懲役刑と150,000元の罰金、Linには14カ月の懲役と100,000元の罰金、Houには1年の懲役と30,000元の罰金とそれぞれ量刑が言い渡されている。われわれが最近よく目にするこの手のリーク情報画像は、「フェイクだ」とされることも多いが、今回の場合は(最終版だったかどうかは別として)本物だったわけだ。