国立天文台は、日本が製作したアルマ望遠鏡の直径7mアンテナと12mアンテナを用いた初の干渉計試験を5月30日に実施、変光星いて座VX星からの電波を2台のアンテナで受信、合成することに成功したことを発表した。これは、2台のアンテナが干渉計として正しく動作していることを証明する結果となる。

日本と台湾、北米、欧州が建設地のチリと共同で推進する国際プロジェクトであるアルマ望遠鏡には66台のアンテナが設置される。このうち、直径12mアンテナ4台と7mアンテナ12台の製造を日本が担当しており、12mアンテナは4台とも製造と性能確認審査が終了し、現在は試験観測に使われているほか、2011年5月2日に7mアンテナの1号機も性能確認審査に合格していた。

受信した電波信号グラフを手に7mアンテナ1号機のファーストライト(2011年5月27日)を喜ぶ浅山信一郎 合同アルマ観測所アンテナ調整試験サイエンスチーム副リーダー(右から2番目)とスタッフたち(出所:国立天文台Webサイト。写真:松下聡樹氏(ASIAA))

審査合格後は、アルマ観測所のスタッフにより受信機の搭載と調整が行われ、5月27日に初めて天体からの電波を受信する「ファーストライト」を達成。今回の干渉計試験では、同7mアンテナ1号機と日本製12mアンテナ4号機を用いて実施された。干渉計試験では、強い電波を出しているため、望遠鏡の試験観測に活用されるいて座VX星に続いてクェーサーJ1924-292、変光星うみへび座W星などの電波受信に成功した。

干渉計試験を行う7mアンテナ(手前)と12mアンテナ(中央右)。7mアンテナのすぐ右に輝く2つの明るい星はケンタウルス座アルファ星とベータ星(出所:国立天文台Webサイト。写真:Richard Simon氏(ALMA))

なお、7mアンテナの製造と性能確認審査は順調に進んでおり、5月30日には2号機も性能確認審査に合格したという。