米公共ネットワーク PBS (Public Broadcasting Service)のサイトがLulzSecまたはThe Lulz Boatを名乗るハッカーグループに乗っ取られ、PBS NewsHourに28日(米国時間)から29日にかけて「トゥパックは、今もニュージーランドで生きている」という記事が掲載された。同グループの声明によると、PBSが24日に放送したWikiLeaksに関するドキュメンタリー番組の内容に対する抗議として同社を攻撃した。

LulzSecはSQLインジェクションを用いてPBSのシステムに進入し、ニュースブログの内容を改ざんした。PBS NewsHourに掲載された偽記事は、1996年にラスベガスで殺害されたラッパー、トゥパック・シャクールが生き延びていて、Notorious BIGとともに、今もニュージーランドの小さなリゾートで生活しているという内容だった。同グループはまた、PBSのMySQLルートや報道関係者向けサイトのパスワード、Frontlineのログイン情報なども公開した。

PBSに対する一連の攻撃の動機として、LulzSecは「WikiSecrets (PBSが放送したドキュメンタリー番組)を見終わったが、まったく満足できなかった。そこでPBSのサーバに向けてLulz Boatの舵を切り、もっと詳しく調べてみることにした」と語っている。今回の理由はWikiLeaksのサポートだが、同グループはこれまでにもオーディション番組に力を入れるFox Broadcasting Networkのサーバに進入して社員の情報を盗み取るなど、異なる理由でメディアに対する攻撃を続けている。ソニーに対する攻撃が疑われているハッカーグループAnonymousとは無関係であるという。

NewsHourに外部から偽記事が掲載されたことを公表するPBSのツイート

NewsHourに偽記事が掲載されてからPBSは、すぐにTwitterやFacebookを通じて外部から攻撃を受けた事実を公表した。その後、同社がサイトの完全なコントロールを取り戻すまで1日以上の時間を費やした。NewsHourメンバーの個人情報や電子メールが改ざんされた形跡はないという。