将来は有人、小惑星も

堀江氏は自らロケットを開発する動機として、「国家主導の宇宙開発」に対する疑問をあげる。「冷戦時代の宇宙競争は終わり、国民が一丸となってやるような目標はなくなった。その結果、宇宙開発は産業を維持するためだけの公共事業になりつつある」と指摘。「僕らが子供の頃に夢見た世界はその延長線上にあったが、状況が変わり思い描いた未来ではなくなった。それを再び取り戻すには、民間主導で宇宙を身近なものにするフェーズが必要」と訴える。

「これまでも乗り物の歴史はそうだった。ロケットも同じように単なる乗り物に過ぎない。本来のイノベーションの軌道に乗るためには、我々民間の力が必要。その一助、一翼を担えればとスタートしている」と堀江氏。将来的な目的としては「もちろん有人はやるが、小惑星に植民するとか、もっと先までやりたいと考えている」という。こんなに小さなロケットには分不相応な液体燃料エンジンを選択したのは、将来の有人打ち上げも見据えてのことだ。

すでに報道されたように、堀江氏は懲役2年6月の実刑が確定、近く収監される見通しだ。今後の宇宙開発に関し、何らかの影響は出るだろうが、他のメンバーは残っているので、ロケットの開発は引き続き進められるだろう。とりあえず次回の打ち上げは今夏になる予定。推力は同じ100kgf級だが燃料タンクを大きくして、到達高度は3倍くらいになるそうなので、まずはこちらに注目したい。

ちなみに、CAMUIロケットの大型化も進んでおり、地上試験では「500kgf級エンジンが動いている」(植松電機の植松努専務)という。実機での打ち上げはまだだが、このクラスになると海上回収が必須となるために、「今年の夏くらいに、90kgf級の機体を何本か使って海に打ち上げて、海上回収のトライアルをやりたい」(同)と考えており、技術を確立した上で200kgf級、500kgf級の海上回収に繋げるつもりだ。

今回「はるいちばん」と一緒に打ち上げたのは200kgf級の「CAMUI-200P」

CAMUIとSNS。良きライバルの登場によって、日本の民間宇宙開発も、やっと面白くなってきた。