課題解決や新しい活用方法を提案 - スマートフォン&モバイルEXPO

5月11日から13日にかけて、東京ビッグサイトでは第1回目となる「スマートフォン&モバイルEXPO」が開催された。今回は会場で見つけた注目の製品を紹介しよう。

スマートフォンをターゲットにしたウイルスから端末を守るアンチウイルスソフトは数社から出てきているが、カスペルスキーが「カスペルスキー モバイルセキュリティ9 for アンドロイド」を発表した。日本公開記念として年内無料で利用できるこのツールには、アンチウイルス、プライバシー保護機能に加えて、盗難対策機能が多数盛り込まれている。GPSでの追跡、リモートでのロックやデータ削除のほかに、別のSIMを挿入して操作しようとした場合も検知できるのがおもしろい。

リモートワイプだけでは対応できなくなる時代に備えた完全削除

現在のスマートフォン向けセキュリティの主流は、紛失時のリモートワイプや、一定回数パスワード入力をミスした時の自動データ削除などだ。しかし、PCで「ごみ箱をからにする」を選択してもツールを使えば簡単にデータ復元ができるように、今後単純なデータ削除だけでは機密が守れない時代がやってくると考えられる。それに備えた完全削除を行うのがブランコ・ジャパンの「blancco」だ。ユーザー領域全体に対して上書き処理をするため、データを完全に抹消できる。消去後のレポート作成も可能。現在は中古買い取り・販売店などで端末のクリーニングに活用されている例が多いようだ。

端末の集中管理を実現するソリューション

企業で大量導入し、運用する場合に価値のある集中管理ソリューションもいくつか発表された。「MobiControl」はユーザー端末の状況をリモートで把握してサポートを行ったり、各種設定やファイル同期を管理者が集中的に行ったりできるほか、ファイルの持ち出し禁止設定やホワイトリストによる利用アプリ制御などにも対応する。iPhone、Androidを含めてPCと統合管理が可能だ。

「Optimal Biz for Android」は、一括セットアップやアプリケーション配布、利用状況の監視、セキュリティポリシーの一括適用といった企業導入において必要となる各種設定や運用のサポート機能を、サーバ設置なしで導入できるのが特徴だ。グループ単位で閲覧可能なドキュメントを制限したり、アプリケーションの利用を禁止することもできる。

機密書類の保護はシンクライアント化・暗号化・閲覧期限で対応

iPad等を業務利用するにあたっての課題となるのは、機密性のあるドキュメントをいかに安全に取り扱うかという部分だ。これに対応する方法としては、画面転送によるシンクライアント化や、暗号化したファイルの配布、ファイルの閲覧期限の設定など各社さまざまなアプローチがされている。

富士フイルムは画像を扱う技術を活かして、必要ドキュメントの画面のみを転送するシンクライアント型ドキュメントビューア「GT-Document」や、端末にデータを残さずに業務メールの送受信を可能にする「Keitai Remote」などを展示。また、参考出展として紙ベースで行われている点検・検査作業をタブレット端末で実現する「撮レポ」も発表した。

あらかじめ作られたグループを基準にファイル配布を行うのではなく、プロジェクトごとなどに社員を逐次割り当ててグループ単位でのドキュメント配布をできるのが「SyncBoard for Enterprise」だ。端末のアカウントを選択してグループを追加作成することで「営業部と企画部の両方に属している人」という設定も簡単に行える。また、プロジェクトごとの管理も可能だ。配布するドキュメントはすべて暗号化されており、ダウンロードした端末からの移動はできない。また、閲覧期限を設けることもできる。

会議用資料配付に特化し、閲覧期限を極端に短く設定できるのが「スマートミーティング」だ。ネットワーク会議をサポートするツールで、事前にアップロードしたドキュメントを同じ会議室に参加しているメンバーに簡単に配布できる。参照してほしいページを指定して全端末で表示したり、手書きで書き込みを行ったりと会議をスムーズに進めるための工夫が施されている。そして、会議終了時には資料を回収してしまい、端末にデータを残さないでおけるのが特徴だ。社外秘の情報を閲覧しながらのネット会議を快適にしてくれる。現在はiOSを対象としているが、今後PCやAndroidにも対応予定だ。