東京スカイツリーの開業が1年後に迫る中、タワーの"おひざ元"となる東京・墨田区で花街として栄えた向島地区に、地域の文化をPRするキャラクター「向嶋言問姐さん(ことといねえさん)」が登場した。料亭街の芸妓さんを招き猫の姿でキャラクター化したもので、今後地域のイベントなどで活躍する予定。

半玉の万てんさん(右)、こいとさん(左)と共に登場した「向嶋言問姐さん」

住まいは「墨田区向島下町路地裏」、性格は「曲がったことが嫌いな姉御肌」

日本有数の料亭街として知られ、昭和初期には約1,200名の東京の芸妓のうち半数以上が在籍したとされる向島の花柳界だが、近年では料亭・芸妓衆ともにその数を減らし、現在の見番である向嶋墨堤組合に登録するのは料亭15軒、芸妓120名に減少している。街はかつての勢いを失いつつあったが、東京スカイツリー建設の話が持ち上がり、開業後は地域に国内外から大勢の観光客の訪問が期待できるようになった。これを好機として地元の町会や料亭の若手経営者などを中心として「向島観光推進プロジェクト」が設立され、地域をPRする活動の一環として今回のキャラクターを企画した。

決めポーズの「お客様を招き猫」

向島には、平安時代の歌人・在原業平の歌「名にし負はば いざ言問はむ都鳥」にちなむ「言問橋」などの地名があり、向嶋言問姐さんもそこから名付けた。特技は三味線・長唄などで、日本文化を世界の人々に伝えることを夢にしている。これまで半玉(はんぎょく、見習いのこと)として修行を積み、今回の発表をもって一本立ちしたという設定。当初は3月中旬のお披露目、桜の季節に「墨堤さくらまつり」への登場を予定していたが、東日本大震災を受けてさくらまつりが中止となったため、お披露目も4月27日まで延期となっていた。そのため現在のところ具体的な活動内容は未定だが、地域のイベントなどでPR活動を行っていく予定。また、キャラクターグッズの制作・販売も計画している。

向島観光推進プロジェクト実行委員長の雨宮隆治さんは「(花柳界の芸能は)動く伝統文化であり、向島は墨田区になくてはならない街。スカイツリーで墨田区を訪れる人たちに向島の文化を知っていただきたい」と話し、キャラクターを通じて多くの人々に向島の認知を図り、この地の文化を次世代に継承すべく努力していく姿勢を強調した。

一本立ちの行事として、見番(向嶋墨堤組合)に自分の札をかけた言問姐さん。これは撮影用だが、他のお姐さん方と同じ大きさの札もちゃんと用意されている