米Microsoftは現在開発を進めている携帯電話向けOSにおいて、NFC(Near Field Communications)をベースにしたモバイルペイメント技術を導入する計画だという。GoogleはAndroid 2.3.3でNFCに必要な3種類の通信モードをすでに実装したほか、噂レベルではAppleがiPhone 5とiOS 5にNFC機能を実装するという話があり、携帯プラットフォームでの対応が急速に進んでいる。今回のMicrosoftの計画は、こうした動きに拍車をかけるものになるかもしれない。

同件は米Bloombergが3月30日(現地時間)に報じている。ここでいう現在開発中の携帯OSがWindows Phone 7向けの最新アップデートを指すのか、あるいはその後継のOSバージョンとなるのかは不明だが、Microsoft CEOのSteve Ballmer氏によれば2011年内に複数回にわたってWindows Phone 7向けの大規模アップデートを順次提供していく予定であり、Windows Phone 7の延長である可能性が高いようだ。とはいえ、NFC対応には端末内にNFC用のインターフェイスモジュールを組み込む必要があり、既存のWindows Phone 7端末はそのままでは対応できない。今後具体的なプランが発表されるなかで、ソフトウェアとハードウェアの両面での対応方法が示されるだろう。

前述のように、NFC通信ではICカードモード、ICタグのリード/ライト、P2Pと3種類の通信モードがある。Androidではv2.3.3でこの3種類の通信モードをサポートし、仕組み上はNFCで要求される一通りの動作は可能になっている。現時点でアプリやサービスの対応はほとんどないものの、Android端末を中心に今年後半に登場するスマートフォンの多くがNFCをサポートするといわれ、順次対応アプリ/サービスが増えていくはずだ。またサプライヤや通信キャリア、アナリストらを情報源に、Appleが今年秋にリリース予定といわれるiPhone 5とiOS 5において、NFCを標準サポートする計画があるといわれている。今回MicrosoftもNFCへの取り組みを進めているという話が出てきたことで、スマートフォン向けプラットフォーム大手3社が一気にNFC対応で足並みを揃える形になりそうだ。

Microsoftのモバイルペイメント実装における具体的なパートナー名や計画の詳細は不明だが、BloombergによればNokiaのOyjプラットフォームを活用するようだ。Microsoftは1月末にNokiaとの戦略提携を発表し、Bingを含む同社技術や開発リソースの提供を表明している。一方でNokiaの技術の多くはMicrosoftのプラットフォームへと順次統合されていくことになるが、ここで同社の課金プラットフォームであるNokia Oyjを統合する形になるという。Nokiaによれば、2011年中には同社Symbian OSにおいてNFCを標準機能にする意向だという。Nokiaは「Nokia 6131」のようなNFC対応携帯をすでに発売しており、ある程度のノウハウの蓄積ができている。Nokiaとの提携が、MicrosoftのNFC戦略を加速することになるかもしれない。