日本データカードは3月4日、IDカードプリンターの新製品「SD360」および「CD800」を発表した。いずれもエッジ・トゥ・エッジの両面印刷が可能なうえ、従来機種に比べて、IDカードの表面印刷処理やエンコーディング(データ書き込み)処理が高速になっている。

左が「SD360」、右が「CD800」

日本データカードは、キャッシュカード、クレジットカード、各種IDカードなど、さまざまな種類のカードに対応したカード発行ソリューションを提供する企業。ハードウェアとソフトウェアの双方を提供し、磁気カード/ICカードともに対応する。金融カードにおいて国内で90%以上のシェアを誇り、ワールドワイドにおいても母体となる米Datacardがシェア90%以上を獲得しているという。

今回発表された2製品は卓上タイプのカードプリンター。エンボス機能(文字を立体的に刻印する機能)は搭載していないため、主としてIDカードの発行を目的としている。

上記2製品のうちSD360は、両面プリントに対応した標準モデル。昨年秋に発表した「SD260」に続くSDシリーズと位置づけられており、SD260が片面プリント機種だったのに対し、SD360では両面プリントを実現している。また、同社のSP Plusシリーズがカード短辺に0.5mmの余白設定が必要だったのに対し、SD360ではエッジ・トゥ・エッジの印刷が可能という。片面カラーで200枚/時、両面カラーで155枚/時と、発行スピードも従来製品に比べて大きく改善されている。

一方のCD800は、SD360の基本仕様をベースにしたカスタマイズ対応モデルとされている。モジュラー設計を採用し、内部に組み込むハードウェアを変更することが可能。片面プリント/両面プリント、磁気エンコーディング、ICエンコーティングなど、用途に合わせて機能を変更できる。片面カラーで220枚/時、両面カラーで165枚/時、片面モノクロで1000枚/時というパフォーマンスを実現している。

CD800はモジュールの取り外しが可能。印刷用のカードは筐体前方より挿入する

両製品とも4月1日に受注開始し、5月15日より出荷を行う予定。販売価格はオープンだが、SD360が最小構成で55万円~60万円程度、CD800はカスタマイズの内容によって異なるが、50万円~となる見込み。

日本データカード 代表取締役社長の岡村篤氏

また、同社は併せて、全銀協仕様ICキャッシュカード発行に対応したソリューション「DAPS-FF」も発表した。DPAS-FFは、「Data Personalization Aggregated Solutions for Finace」の略で、統合的なキャッシュカード発行システムを提供する。システム構成を柔軟に変更できる設計になっており、大型のカード発行機を設置した拠点で全店舗分のカードをまとめて発行する「集中発行」タイプから、申し込み客に対して各店舗がその場でカード発行する「即時発行」タイプまで対応し、ニーズに応じて柔軟に拡張することができるという。

日本データカード 代表取締役社長の岡村篤氏は、「最近では、顧客満足度の向上や情報漏洩リスクの懸念から、米国を中心に即時発行を希望する銀行が増えている」と説明。そうしたニーズを踏まえて、スケーラブルなソリューションであるDPAS-FFを提供するに至ったことを解説した。