Texas Instruments(TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツは2月10日、同社のアプリケーションプロセッサ「OMAP」ファミリの次世代製品として、スマートフォンおよびタブレットPCを中心とした携帯機器向けモバイル・アプリケーション・プラットフォーム「OMAP 5」を発表した。

同プロセッサは、1コアあたり最大2GHz動作が可能なARMプロセッサコア「ARM Cortex-A15 MPCore」を2コア搭載している。同プロセッサコアは同一クロック周波数の「Cortex-A9」と比較して50%の処理性能の向上を実現しているほか、最大8GBのDMA(Dynamic Memory Access)とハードウェアでの画像表示機能をサポートしている。

「OMAP 5430」のブロック図

「OMAP 5432」のブロック図

また、ビデオ、イメージングおよびビジョン、DSP、3Dグラフィクス、2Dグラフィクス、ディスプレイおよびセキュリティなどの機能のそれぞれについて、個別の専用エンジン群を統合していることに加え、Cortex-A15コアのリアルタイム処理の負荷軽減およびモバイル機器の低レベルの制御および応答時間を向上ことを目的に「ARM Cortex-M4」プロセッサコアを2コア内蔵している。

こうした機能を活用することで、例えば最大4個のカメラを並行してサポートしたり、1080pの映像でステレオコピック3D(S3D)動画の録画・再生が可能となる。また、2Dコンテンツをリアルタイムで1080pでS3Dに変換することも可能なほか、ジェスチャ・アプリケーション、フルボディおよびマルチボディのインタラクティブジェスチャを実現することも可能となると同社では説明している。

「OMAP 5430」によるシステムブロック図

「OMAP 5432」によるシステムブロック図

プロセスルールとしては28nmプロセスを採用。前世代品である「OMAP 4」と比較して平均消費電力を60%程度低減しつつ、最大3倍の処理性能の向上ならびに同5倍の3Dグラフィックス性能の向上を実現している。

OMAP 5には、現在、LPDDR2をサポートする「OMAP 5430」およびDDR3/DDR3Lをサポートする「OMAP 5432」の提供が予定されており、大量生産のモバイル機器のOEMもしくはODM各社向けに2011年後半のサンプル出荷、2012年後半の個別デバイスの量産出荷をそれぞれ予定しているほか、広範囲の市場アプリケーション向けにOMAP 5と互換性を備えたCortex-A15プロセッサ搭載ソリューションを開発する予定としている。