富士通は2010年度第3四半期の決算発表を行い、通期での業績予想を売上高、営業利益ともに下方修正すると発表した。

富士通 代表取締役社長 山本正已氏

同社が発表した下方修正(2009年10月予想比)の内容は、売上高を1000億円、営業利益を400億円、経常利益を400億円をそれぞれ減額修正するというもの。

決算説明会に出席した山本社長は、その主な要因が「国内市場におけるIT投資の回復遅れや欧州(特に英国)における不採算プロジェクト」にあると説明。国内のIT投資の回復は「早くても2011年後半以降になるだろう」との考えを示し、欧州での不採算プロジェクトについては、「すでに"止血"対策は施してある」という。

なお、第3四半期累計(4~12月)での売上高は3兆2438億円(前年同期比-895億円)、営業利益は684億円(同+530億円)、経常利益は506億円(同+495億円)で、減収増益という結果となった。

富士通 取締役執行役員専務(CFO) 加藤和彦氏

ほぼすべてのセグメントにおいて売上高と営業利益の通期予想がマイナスとなっている中で、唯一売上高が(昨年10月予想比で)上方修正されているのが「ユビキタスソリューション」における「パソコン/携帯電話」事業。この事業については「スマートフォンの需要が好調である」(同社CFO 加藤和彦氏)ことを主な要因として、売上高が10月予想比で150億円の増額修正となっている。

山本社長は今回の決算説明会において、「来期(2011年度)は新たな成長へのターニングポイントになる」との認識を示し、環境の変化が激しさを増しているICT市場の動向を踏まえ、「いま一度中期経営計画を"リセット"し、(通期営業利益予想額の1450億円をベースにしつつ)すべてをゼロベースで見直す」との考えを明らかにした。

なお、見直されることになる中期経営計画には、上述の好調なスマートフォンや東芝との事業統合による効果が顕著であるとされる携帯電話事業の海外展開に関する要素も盛り込まれる見通し。

一方で山本社長は、「商談も活発で館林システムセンターも盛況である」という国内のクラウドビジネスの現状について、「とりわけ基幹系システムのクラウドへの移行(投資)が遅れている」など、多くの企業がまだ"見極め"の段階にあると説明。このような背景をもとに「実際にビジネスとして伸張し、明らかな成果を見せ始めるのは(上述のように)早くても2011年後半以降になる」との考えを示した。