アイファイジャパンは今年10月から、無線LAN内蔵のSDカード「Eye-Fiカード」のユーザーが無料利用できるクラウドサービス「Eye-Fi View」を開始した。その狙いをアイファイジャパンの代表取締役田中大祐氏に聞いてみよう。

――新しいパーソナルクラウドサービス「Eye-Fi View」とは、どんなものですか?

アイファイジャパン 代表取締役 田中大祐氏

「Eye-Fiカードのユーザーに無料で提供する容量無制限の画像保管サービスです。デジカメの撮影画像を自動的にアップロードでき、7日間の保存期間内であれば、自由に閲覧でき、オリジナルデータのダウンロードやシェアリングができます」

――Eye-Fi Viewは、Eye-Fiカードから転送される他社のオンラインアルバムサービスと競合しませんか?

「Eye-Fi Viewの機能やインタフェースは非常にシンプルなものです。この部分では、他のオンラインサービスと競争するつもりはなく、複雑なものにはしません。Eye-Fi Viewは、中間地点のキャッシュされたところから、ダウンロードするかシェアリングするか、というシンプルな機能にとどめることで、より多くのユーザーが手軽に扱えることを重視しています。インタフェースについても、ユーザーが困惑しないように、ボタン等の数を少なくしています」

――有料サービス「Eye-Fi Premium」では、月額480円または年額4,800円を支払うことで、保存期限を無制限にすることができます。御社のビジネスとしては、この有償ユーザーを増やすことと、Eye-Fiカード自体を売ることの、どちらのウエイトが大きいのでしょうか?

「ゴールとしてはその両方を設定しています。有料サービスのEye-Fi Premiumは、いわゆる『フリーミアム』のビジネスモデルと同じです。つまり、有料でヘビーに使用するプレミアムユーザーの方が、それ以外の大多数の無料ユーザーの分をまかない、それによって完結したいと考えています。どんなにユーザーが増えても、プレミアムユーザーが全体の半分を超えるということは、起こらないと思っています。

むしろ我々の中で大きなウエイトを占めるのは、カメラメーカーとの提携です。今のところ7社との提携関係を結んでいますが、カメラメーカーがEye-Fiをさらに推進してくれることが、Eye-Fiカードの販売やサービスの利用につながると考えています。そして、こうした魅力的なクラウドサービスをユーザーに提供していることは、カメラメーカーにとってもメリットになると思います」

――御社とカメラメーカーとは、どんな関係になるのでしょうか?

「現状ではSDカードという形で、カメラメーカーとお付き合いをしていますが、実はいつでもカメラメーカーに対しては、Eye-Fiのモジュールとクラウドサービスを、カメラの内蔵メモリーとして使ってくださいと提案しています。

将来的にベストなソリューションとして考えられるのは、Eye-Fiをモジュール化してカメラの中に組み込むことです。そのためのモチベーションになるようなサービスをまずは作り、ユーザーからの支持を得られるようなものに昇華させ、それがあるなら、Eye-Fi内蔵のカメラを買おうとユーザーに思ってもらえることが重要です」

iPadやiPhoneなど「Eye-Fi View」でアップロードした写真を様々な端末から閲覧することができる

――Eye-Fi内蔵のカメラというのは、すでにあるのですか?

「いいえ、まだありません。将来的にそれを実現できれば面白いし、ユーザーにもメリットがあると思います。そして、カメラメーカーには、もっと使い勝手がいい、クラウドサービスにアップすることを前提にしたカメラを作っていただけるようになれば、写真の楽しみ方も変わってくると思っています」

――Eye-Fi内蔵カメラに、前向きなカメラメーカーはありますか?

「あります。具体的な社名はまだ発表できませんが…」

――使用するカードを問わないEye-Fi内蔵カメラが実現すれば、非常に便利になりますね。

「ユーザーにとっての選択肢を広げることが我々のポリシーです。例えば64GBのカードを使いたい、TPOに応じてカードを使い分けたいといったユーザーにとって、それらを全部Eye-Fiカードでそろえるのはコストがかかります。カメラ自体に送信機能を入れることができれば、カードはなんでも好きなカードを使えるようになります」……つづきを読む