F1マシンの"恐ろしさ"と"気持ちよさ"を知れ!

パドックからピットロードに走り出すところからゲームが始まるのが雰囲気満点だ。ギャンギャンギャンと爆音・高音のエギゾーストノートを響かせながらコースに飛び出していく流れまでは、クルマ好きには溜まらない瞬間だ。意気揚々とコースインしたのも束の間。これまで、市販車ベースのレーシングゲームしか手を出していなかった筆者は、コースインしてから、F1マシンの恐ろしさを知ることになった。

F1マシンはトルクの化け物なのだ。

ゲームなので加速Gを感じることはないが、この周りの情景のかっとび方は尋常ではない。多分、実車ならば脳みそが頭部内で後ろにずれてしまうに違いない。第一コーナーに差し掛かるときに、ブレーキを踏む前に思わずアクセルを緩めてしまった。たぶん、適当なできばえ(見ばえ)のゲームならば、こういう怖さはないはずだ。しかし、さすがcodemastersのゲーム。コース上のリアルな情景グラフィックスが後ろへすっ飛んでいく描写と、レーシングカー特有のハードサスペンションが醸し出す小刻みな車体の振動感によって、速度が上がれば上がるほど視界が狭くなっていく、あの実車の高速運転時の感覚が卓上で再現されてしまうのである。

これは手強い。

……と言うか、怖い。たぶん、実車でサーキットで限界走行を楽しんだ経験がある人ほど、この恐怖感を実感するはずだ。しかし、次第にこの恐怖感が快感になってくる。

圧倒的なトルク感、タイヤのグリップ感に感動する。市販車ベースのチューニングカーとは次元の異なる性能を体感せよ

快感になってくるきっかけは、圧倒的なブレーキの制動力と超絶的なタイヤのグリップ感だ。ガッとブレーキペダルを踏み込めばギュンとブレーキが利く。加速時と逆で、F1マシンは頭部内の脳みそが前にと飛び出しそうなストッピングパワーがあるのだ。それに加えて、通常の市販車ベースのチューニングカー程度ならば、軽めのちょいブレーキか、あるいはアクセルを緩めての"ちょい前荷重"状態にして曲がっていかなければならないようなコーナーを、F1はアクセルオンのままで曲がっていけてしまう。

それにしても、このリアルなF1マシンの表現力はすごい。単純にこれまでの車両物理シミュレーションを"早回し"にしているのではなく、ちゃんとF1マシンの再現が行われているのだろう、ということは、素人目にも分かる。数十分も練習走行をしていると、「ふつう」難易度ならば、だんだんとF1マシンの走らせ方が分かってくる。市販車だと右足1本でブレーキもアクセルも操作するが、F1マシンはそれだと間に合わない。ということで左足でブレーキペダルを踏み込む操作系をお勧めしたい。コーナリング時は若干ブレーキを残しつつ、アクセルオンをオーバーラップさせるのだ。これでかなり速く走らせられるようになるはず。

リプレイモードは走行後のお楽しみの1つ