Analog Devices(ADI)は、ワイヤレス、計測機器、防衛、およびその他のブロードバンド・アプリケーション向けに、高集積、高性能、RF帯の検出器「TruPwr」として「ADL5511」を発表した。すでにサンプル出荷中であり、1000個受注時の単価は7.33ドル(米国での販売価格)となっている。

「ADL5511」のブロック図

同製品は、RMS(Root Mean Square value:実行値)とエンベロープ・ディテクタ(入力としてRF信号を受け、その信号の輪郭を表す出力を提供する電子回路)の2つのRF機能を1チップに組み込んだものであり、設計の簡素化と、BOM(部材費)コストの低減を実現することができる。

また、高出力アンプのPAE(電力付加効率)の改善は、ワイヤレスおよびブロードバンド機器メーカの課題となっており、次世代WiMAXやLTEなどのモバイル・システムでは、多数のサブキャリアをサポートするOFDM(直交周波数分割多重)変調では、高いピークtoアベレージ比が必要とされ、PA(パワーアンプ)の実際の送信電力は、その最大送信電力より低くなる原因となり、PAの効率が低下する。このPAの効率を改善するために、エンベロープ・ディテクタの需要が高まっており、同製品を用いることでエンベロープ・ディテクタが、入力RF信号からPA電源を変調し、RF信号の送信に必要な適切な電力をPAに送ることが可能となる。

さらに、同製品は1MHzから4GHzの周波数範囲で動作し、独自のアプローチによるフットプリントの小型化と低コストを実現した変調信号のエンベロープ(PAの送信電力)を高精度で抽出する検波器で、エンベロープ出力はIC入力信号のエンベロープに比例した電圧として提供されるほか、実効値出力は、入力電圧に対して直線で、入力信号のピークtoアベレージ比に影響を受けない電圧を出力する。

抽出されたエンベロープは、パワーアンプの線形化および効率改善に用いることができ、実効値出力はパワー測定に用いることができる。温度によるrms検出精度変動±0.25dB、温度によるエンベロープ検出精度変動±0.25dB、および40dBのダイナミック・レンジ±1dBの精度を実現しており、-40℃~+125℃の温度範囲仕様のため、リモートラジオヘッドやパワーアンプなどの高温環境での利用も可能となっている。