【今日のCFD】欧州50種株価指数

仏系石油ガス大手TOTAL(FP)や独自動車BMW(BMW:GR)など、欧州各国の錚々たる優良企業を構成銘柄とする欧州50株価指数が先週金曜日から上昇を継続している。その理由の一つとして、中国の王岐山副首相が欧州金融安定化を目指した措置を支持するとの報道が好感され、欧州株が総じて上げた点が指摘できよう。

実際、同副首相の発言は投資家に安心感を与えると共に投資家のリスクテイクに対するアペタイトを刺激し、特にドイツやフランスの株式市場における自動車株、銀行株にはポジティブ要因となった。また、金属価格の上昇を背景に、鉱業・資源株も伸びている。

欧州株価指数では、その構成銘柄の約40%弱をフランス企業、26%をドイツ企業が占めており、組入上位10銘柄も両国企業が占めている。このため、ドイツとフランスの株式市場の動向が少なからず投資家のムードに影響を与える。特に、欧州債務危機をよそに、中国等への輸出が好調なSIEMENS(SIE:GR)を筆頭にユーロ安の恩恵を受けるドイツ企業全般の今年の収益は堅調に推移しており、同国の経済成長の見通しも追い風にある。ミクロ、マクロ両面での好調さを反映するように、直近のドイツ30種株価指数は過去2年半で最高値レベルに近づこうとしていることは、欧州50種株価指数にもポジティブな影響を与えそうだ。

とはいえ、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、ポルトガルの今後の経済成長に不透明感が増していることから同国の長期国債と短期国債の格付けをそれぞれ現在のA1、P-1から最大2段階引き下げる方向で検討すると発表したことに加え、更に同国金融セクターについても今後政府による追加救済策が必要となり、今後主要銀行の長期債格付け引き下げの検討の可能性もあると報じられている。

こういった信用格下げ懸念が長じて欧州全体に対する投資家の食指にまで影響を与えることも充分考えられる。特にクリスマスを直前に控え薄商いの今週は、短期上昇トレンドとみても気は抜けない状況。すぐに動ける体制を整えておきたい。

テクニカルで上下のポイントを探ると、ボラティリティは高いものの5月下旬を起点にしたサポートラインが意識されており、上述したファンダメンタルズ同様上昇トレンドを維持していることがわかる。

更に直近の動向を見ると、ボリンジャーバンド(MA:25 σ:2.0)の中心線(2803)を上抜けた後、更に上値追いの圧力が強まりレジスタンスライン突破が上値の焦点となっている。すぐ上には2888(2635-3044の61.80%戻し)もありレジスタンスゾーンを意識する展開となりそうだが、このレベルで上値が抑えられても、55日移動平均線が約1週間サポートラインとして欧州50種株価指数を下支えしていることから、2800前半では引き続き底堅い展開となるのではないか。

仮に55日移動平均線を破られても、ボリンジャーバンド(MA:25 σ:2.0)の中心線が控えており、ここまでの反落ならばポジション調整の範囲内と考えることができよう。 一方、上値は上述したレジスタンスゾーン突破が目先の焦点だが、次の2900ラインでの上値の重さは10月、11月で確認済み。三度上値が抑えられるようだとレジスタンスゾーンとは違い、売り圧力が予想外に強まる可能性が出てくる。

しかし上値圧力が強い分、突破した場合はその反動も大きいことが予想され、ボリンジャーバンドの上限(2922)レベルを追う強気相場へ発展する可能性もあろう。

欧州50種株価指数 日足