【今日のCFD】スポット金

金投資への資金流入が根強く続いている。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、17日にアイランドの国債格付けを「Aa2」から「Baa1」と一気に5段階引き下げたが、昨日は引き下げ対象を金融部門にまで拡大し、アイルランドのアライド・アイリッシュ・バンクスとバンク・オブ・アイルランドなど多数の銀行の格付けを引き下げに踏み切ったことに加え、スペインの銀行および銀行の政府保証債の格付けを引き下げ方向で見直していると発表した。欧州安定メカニズム(ESM)設置に向けたEU基本条約改正の合意もむなしく、為替市場ではリスク回避のユーロ売り/ドル高トレンドが強まっており、今後も金相場の圧迫要因ともなり得るだろう。

しかし投資家は、ドル高懸念よりも安全性の観点と通貨不安を重要視していることから金投資への投資を活発化させている。このため、為替動向が金相場に与える影響が以前ほど大きなインパクトがなくなりつつある点にむしろ注目した方が良いだろう。

また、新興国の経済発展により銅需要が史上最高値に迫る勢いを見せていること、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でQE2の継続が確認されたことで、インフレヘッジの観点からも、金相場への資金流入を促す要因となり得る。特に後者に関しては、量的緩和が着実に履行される中、FRBのバランスシート(貸借対照表)拡大を材料に通貨価値下落の流れが変化する可能性が低いことも投資家は注目している。

これらを背景に昨日は、ユーロドルが目先のサポートライン1.3100をブレイクしたことで金が急落する場面は見られたが利益確定売りの範囲内におさまり、本日アジア時間では昨日の高値を超える1389ドルまで値を戻している。

ただ、上記の材料はどれも新鮮味に欠けることから、短期で急騰・急落を招く要因としては弱いような気がする。むしろクリスマス・年末要因などで急落する場面があれれば、押し目買いの絶好の機会になる可能性の方が高いか。

テクニカルで上下のポイントを探ると、上値はレジスタンスラインを突破し、1390台へと上昇するかが焦点となりそうだ。12月高安の38.20%戻し1388も絡んでおり上値を抑える可能性は残されている。

ただ、下落しても下値余地も限られる可能性が高いか。焦点は1389-1361の23.60%戻し1382。すぐ下には1380のラインの他、38.20%戻しの1378、50.00%戻しの1375と1380を挟んでサポートポイントが密集している。特に1375は昨日の急落を止めた経緯があるため、引き続き押し目買いのポイントとして注目したい。

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