昨日の欧米市場

欧州の主要株価指数は、上値追いの展開へ。アイルランドやギリシャの財政危機への懸念から一部銀行株では売り圧力が強まった。また、寒波の影響から便に乱れの出たブリティッシュ・エアウェイズ(BAY.L)やエールフランス(AIRF.PA)といった航空株での下落も欧州株式市場の圧迫要因となった。

しかし、来年の中国での販売見通しを上昇修正した独大手自動車メーカーのフォルクスワーゲン(VOWG.DE)や、銅価格が再び史上最高値へ迫る勢いを見せたことを背景にアントファガスタ(ANTO.L)やロンミン(LMI.L)といった銘柄が相場を牽引。欧州600指数はリーマンショック前の水準を回復し、英FTSE100も再び5900のラインを窺う展開となっている。

一方、米株も直近の経済指標が好調だったことを受け米景気二番底懸念が後退していることや企業マインドの改善が引き続き根強い資金流入を促し、底堅い展開は継続。しかし、高値警戒感や今週半ばの米経済指標を見極めたいとの思惑もあり、ウォール街株価指数を中心に利益確定売り優勢の展開となった。

本日の主要経済指標

・08:00 豪 : 10月コンファレンスボード景気先行指数

・09:01 英国 : 12月GFK消費者信頼感調査

・09:30 豪 : RBA(豪準備銀)議事録

・13:30 日本 : 10月全産業活動指数

・16:00 ドイツ : 1月GFK消費者信頼感調査

・16:15 スイス : 11月貿易収支

・21:00 カナダ : 11月消費者物価指数

・22:30 カナダ : 10月小売売上高

要人発言 イベント

・時間未定 日銀金融政策決定会合 政策金利発表

・16:30 白川日銀総裁記者会見

アジア時間の見通し

為替市場は引き続きユーロの動向に注目する状況が続きそうだ。昨日のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがスペインの銀行と銀行の政府保証債の格付けを引き下げる方向で見直すと発表。これをきっかけにスペインの国債の保証コストが上昇した。

また、格下げリスクに直面しているベルギーの他、フランスもその影響から免れることができないとの思惑も新たなユーロ売り材料として注目する必要があろう。実際、このことが材料視され、5年物フランス国債のCDSスプレッドは過去最高水準に拡大している。

欧州株式市場でも格下げリスクに直面している国もしくはそれらの国へのエクスポージャーが指摘されている銀行株では資金需給のひっ迫懸念から売り圧力が強まっており、ダイレクトにユーロ売りへと結びつくトレンドは今後も継続する可能性が高い。

ポイントはユーロドルで1.3100のラインを割り込むかどうか。1.3000までストップの観測はないが、現状1.31での底堅さが意識されている分、破られた時は思わぬユーロ売りを招く可能性もある。11月29日はまさにその展開となり、翌日には1.30割れを演出している。今回1.31が破られた場合は、1.3060(12月2日安値)が次の下値ターゲットとして浮上するが、市場が薄くなっている分値が飛び易いため、一気に1.3000をトライする可能性も考慮しておいた方が良いだろう。

また、ユーロ円は既に心理的ライン110.00が破られていることから、新たな下値を探る展開となりそうだ。目先109.57レベルでダブルボトムを形成するかが注目される。しかし、欧州各国への債務危機伝染リスクが材料視され続ければ、110.00がサポートからレジスタンスへ転換する可能性もあり、そうなれば12月1日以来となる108円台も視野に入る可能性が出てこよう。

一方、ドル円は対ユーロでのドル買いにより底堅い展開は続きそうだが、ユーロ円をはじめとしたクロス円での円高圧力がドル買いの勢いを相殺し、84.00を挟み動きづらい状況が継続しそうだ。

なお、9時半にRBA(豪中銀)議事録が発表されるが、市場では来年にも再びRBAが金融引締めを実施するのではないかとの期待感がある。本日の議事録で同国経済への見通しに強気の姿勢を見せれば、ユーロに代わり豪ドルがリスク懸念を幾分か相殺するきっかけを与える可能性もある。

逆に、ハト派のスタンスが色濃く出る内容だと、ユーロを主体にリスク回避地合いが継続する可能性があろう。

株式市場では、上昇の牽引役だった海外勢がクリスマス休暇へ入っていることから、引き続き上値の重い展開となろう。年末を控え中国の上海株式市場では資金需給がひっ迫していることに加え、同国の金融引締めへ懸念も根強く、また緊迫化している朝鮮半島情勢といった外部要因での悪化が引き続き日本225種のリスク要因となる可能性もある。

ただ、個人投資家の中小小型株を中心とした物色は続いており、また、本日の日銀金融政策決定会合でも包括的金融緩和策の継続で一致すると市場関係者は見ており、10200円を割り込んだ水準ではむしろ押し目買いのチャンスと見る投資家も少なくないと考えられる。更に市場では10100円台もしくは1万円台割れを期待する声も一部で聞かれ始めており、10200以下での押し目買い意欲の強さが窺える。

ユーロドル 日足

日本225種株価指数 日足